パートと紛争調停委員会 (2007年11月号より抜粋)  
     
 

パートの紛争調停で委員会の指示にはどこまで強制力があるのでしょうか?

 

Q

パート労働法が改正され、パートが都道府県労働局に紛争解決を申し出ることができるようになったと聞きます。当社でも、正社員と比べ、賃金等が安すぎると不満を抱いているパートが少なからずいます。都道府県労働局の命令には、従わざるを得ないのでしょうか。

 

 
 

A

受諾する義務まではない

改正パート労働法は、平成20年4月から施行されます。改正法では、パートの紛争解決を図るため、都道府県労働局の紛争調整委員会による調停の仕組みを新たに設けました。ただし、争いがあれば、すべて調停を申し立て可能という意味ではありません。

パート労働法のなかには強制義務、実施義務、努力義務等がありますが、調停の対象になるのは、「しなければならない」と定めている部分です。「努めるものとする」という条文は関係ありません。

具体的には、次のとおりです。

  • 労働条件の文書交付
  • 通常の労働者と同視すべきパートの差別禁止
  • 教育訓練
  • 福利厚生
  • 正社員への転換
  • 待遇に関する説明

調停を実施するのは、個別紛争解決促進法に基づき都道府県労働局に設けられた「紛争調整委員会」です。基本的には、均等法で定められた「調停」の仕組みに準じて、処理されます。調停の申出は、当事者の双方または一方のどちらでも可能です。つまり、パートが単独で申し出ても、都道府県労働局長が必要と認めれば、調停の手続が開始されます。「調停」とは、委員会が関係当事者から意見を聴いて調停案を作成し、受諾を勧告するというものです。ただし、当事者が受諾する義務はありません。当事者双方で歩み寄りがなければ、場合によっては裁判等に至るケースもあるでしょう。委員会は「解決の見込がないと認めるときは、調停を打ち切る」ことができます(均等法第23条を準用)。

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