手待ち時間と休憩時間 (2008年3月号より抜粋)  
     
 

配送所での荷物の到着を待つ時間を休憩に含めることができますか?

 

Q

当社の荷受部門では、当然のことですが、積荷が到着してから積み替え作業が開始されます。手待ち時間中、従業員は待機用の部屋で、自由に過ごしています。時間外割増の削減のため、手待ち時間の一部を休憩時間に含めて計算できないでしょうか。

 

 
 

A

自由利用の保障が条件となる

労働時間とは、拘束時間から休憩時間を差し引いたものをいいます。休憩時間とは、「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として扱うこと」(昭22.9.13基発第17号)という解釈例規が示されています。いわゆる「手待ち時間」は、労働時間に含まれます。

しかし、事業主にしてみれば、積荷を待っている時間をすべて労働時間とみなすような処理方法は、できれば避けたいところです。たとえば、待機時間が30分を超えたら、超えた分のみを労働時間に含め、30分は休憩時間に繰り込むといった方法は考えられないでしょうか。

自動車で郵便物を運送する会社で、自動車の発着時刻が指定されているケースでは、「自動車に乗務する運転士及び助手は、服務時問中に労働から解放される手あき時間が生じる」ことになりますが、「この手あき時間については、労働者が自由に利用することができる時間であれば、休憩時間である」という解釈例規(昭39.10.6基収第6051号)があります。

たとえば、積荷の到着間隔が確実に30分を超えるような場合、「何時から何時までを休憩時間とします。何時には職場に戻って、積荷が届いたらすぐ作業できるよう待機してください」など指示を出し、事前に休憩時間を指定すれば、その時間を労働時問から除外することも可能になります。

しかし、後から、待機時間の一部を適宜、ピックアップして休憩時間に繰り込むような処置は許されません。貴社で、どのような形で待機時間を管理しているか、実情を確認する必要があります。


▲画面トップ

 

 
  労務相談と判例> 労働時間の相談

Copyright (C) 2008 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所