高額の入れ歯と健康保険 (2008年11月号より抜粋)  
     
 

高額の歯の治療を行ったときは健保から一銭もお金が出ないのか?

 

Q

経営者の懇親ゴルフ会で、たまたま入れ歯の話題が出ました。昔は、特定療養費からお金が出ていたけれど、今は保険外併用療養費として支給されるという話です。名前は変わっても、以前と同じように給付を受けられるのでしょうか。

 

 
 
 

特定療養費と同じ水準で支給される

歯の治療については、健康保険の「療養の給付(通常の保険給付)」の対象にはならないケースもあります。保険診察と保険外診察を組み合わせる混合診察は、健保の対象としないのが原則です。

しかし、保険で認められていない金合金等を使用する場合でも、通常より多くお金がかかった分だけ自己負担すれば「療養の給付」相当の保険給付を行う仕組みが設けられています。

入れ歯はほとんど「療養の給付」の範囲に含まれますが、一部、対象にならない材料も定められています。お話し相手となった方は、高級な入れ歯をお使いなのかもしれません。

以前は、自己負担分を除き、健康保険から現物給付される分を、「特定療養費」と呼んでいました。平成18年10月以降、「保険外併用療養費」に名称が変わっています。

改正前の健保法第86条では、次の二通りの治療を受けたとき、特定療養費を支給すると定めていました。

  • 特定承認保健医療機関(大学病院など)で受ける高度先進医療
  • 通常の医療機関で受ける選定医療(差額ベッド、予約診察、入れ歯等)

改正後の第86条では、「評価療養」と「選定療養」を受けたとき、保険外併用療養費を支給すると規定しています。

評価療養は、以前の高度先進医療に高度先進医療以外の先進医療や国内未承認薬の使用等を含めたものです。選定医療は、従来の選定医療にさらに制限回数を超える医療行為を追加したものです。ですから、対象範囲は広がったけれど、給付水準は変わらないと理解すればよいでしょう。」

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