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退職前の年休消化中に発生した年休 (2009年1月号より抜粋) | |
退職前の年休消化中でも新たに次年度の年休が発生するのでしょうか? |
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Q |
従業員が上司とトラブルを起こし、退職願を持ってきました。当人の年休残日数ば30日ほどですが、この日数を消化する問に年休付与基準日が到来します。本人はそこで次の年休が発生すると考えて、退職日を指定してきました。既に退職が決まっている場合、新たな年休を付与する義務があるのでしょうか。 |
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発生した年休を追加で与える義務あり 年次有給休暇は、一定期間の継続勤務と8割出勤という条件を溝たす場合に、付与する義務が生じます。年休についても労働基準法第115条の時効規定が適用され、「2年の消滅時効が認められる」(昭22.12.15基発第501号)と解されています。 長期勤務者で付与日数が上限の20日に達している人等の場合、消化日数が少なければ、年休の残日数が2年分累積で40日近いケースも珍しくありません。年休は労働義務のある日についてのみ請求できるので、公休日を含めると、すべて消化するまでに2ヵ月近い期間が必要になります。 ですから、その間に年休の付与基準日がめぐってくる可能性を否定できません。さらに追加で20日も年休を与えるのは、会社にとって大きな負担です。 検討が必要なのは、次の二点です。第一は、「すでに出社していない人間には、年休を与える必要はない」という論法が成り立つかです。労基法上は、「基準日以降、1日も出社しない労働者には年休の付与義務はない」等の例外規定は存在しません。仮にそうした規定があっても、本人が1日出勤すれば年休権を得る(規定の裏をかく)ことが可能ですから、有効な規制手段はないともいえます。 次に、「退職日が決まっているから、残りの在職日数に応じて年休を付与する」という対応が可能か否かです。年休は過去の勤続年数・出勤率に基づき権利が発生し、将来の勤務予定は要件になっていないので、在職日数残に応じた「比例按分」は認められていません。ですから、本人の申請を拒否するのは不可能と言えます。
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