雇用調整助成金 (2009年7月号より抜粋)  
     
 

週20時間勤務のパートを休業させたら賃金の一部助成を受けられますか?

 

Q

雇用調整助成金ですが、以前は雇用保険の被保険者でなくても、6ヵ月以上雇用されていれば、支給対象となっていました。しかし、4月からは、その規定が削られてしまったようです。この厳しい経済状況の中で、どうして範囲を狭めるのでしょうか。

 

 
 
A

雇用保険の被保険者なら対象となる

雇用調整助成金(中小企業は中小企業緊急雇用安定助成金)は、休業、教育訓練、出向等を実施することにより、解雇を回避する事業主を助成する仕組みです。たとえば、休業については、休業時の賃金相当額に次の給付率をかけた額が支払われます。

  • 雇用調整助成金…3分の2(解雇を一定限度回避すれば4分の3)
  • 中小企業緊急雇用安定助成金…5分の4(同10分の9)

昨年12月の改正で、対象者は次のとおりとなりました。

  1. 雇用保険の被保険者(解雇予告を受けた者、日雇労働被保険者、他の助成金の対象となる者を除きます)
    以前は、雇用保険の被保険者でも、6ヵ月以上雇用されていないと対象になりませんでしたが、この要件は削除されました。
  2. 被保険者以外で、週の所定労働時間20時間以上、雇用期問6ヵ月以上の者

しかし、今年4月の改正で、2.の人は対象外となってしまいました。これだけみると、「補助施策の後退」のように感じます。実は、雇用保険法の改正が影響しているのです。今回改正(平成21年3月31日施行)では、パートや派遣労働者などが雇止、派遣切りにあっていることから、非正規社員の保護規制を強化しています(セーフティ・ネット機能の強化)。

その一つとして、短時間就労者の雇用保険加入要件を緩和しました。「週の所定労働時間20時間以上で、6ヵ月以上雇用見込み(以前は1年)」が条件です。上記Aの人は、この改正により、雇用保険の被保険者に含まれることになりました。このため、規定が削除されたものです。

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