|
フルタイムからパートに変更した人の年休 (2009年8月号より抜粋) | |
フルタイムから3日勤務に変更して再雇用した人の年休発生日は? |
||
Q |
これまで定年退職者の再雇用は、フルタイム勤務を原則としていました。しかし、経済事情の悪化もあり、本入の同意を得て、週3日働いてもらうことにしました。この場合、退職前と大きく労働条件が異なるので、年休は再雇用してから6ヵ月後に発生するという理解でよいのでしょうか。 |
|
|
||
A |
切り替え後も継続して勤務しているとみなす 高年齢者法で60歳代前半の継続雇用が義務付けられた関係で、定年後の再雇用者が増えています。再雇用しても年休の残日数が繰越しになる点は、今では大多数の労務担当者が理解するようになりました。 行政解釈(昭63・3・14基発第150号)では、「実質的に労働関係が継続している限り勤務年数を通算する」という基本原則を明らかにしたうえで、高年齢者の処理基準を次のとおり示しています。 「定年退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合(退職手当を支給している場合を含む)は、継続勤務に含む。ただし、退職と再採用との間に相当期間が存続し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合はこの限りではない」 しかし、フルタイムでなく、3日勤務に変更するケースでは、「継続勤務ではなく、別の労働契約がスタートしたとみるべきではないか」という疑問が生じますが、前掲行政解釈では、「臨時工、パート等を正規職員に切換えた場合も、継続勤務に含む」と述べています。 たとえば、週3日のパートが正社員に転換するケースと、正社員が週3日のパートに転換する逆のケースで、扱いが異なるのは明らかに不合理です。「正杜員を短日数のパートに切換えた場合も、継続勤務に含む」と解すほかありません。 継続勤務ですから、定年退職以前に未消化だった年休残日数は、嘱託になっても繰り越されます。ただし、週5日勤務が3日勤務になるのですから、付与日数は変わります。 対象になる方か、定年前にすでに長年(6.5年以上)勤続されていたとすれば、週3日勤務者の年休比例付与日数は11日になります。 いつから比例付与が適用になるかについては、「年次有給休暇の権利は、基準日に発生するものであるので、基準日において予定されている所定労働日数に応じた日数の年休を付与すべきものであり、年度の途中で所定労働日数が変更されても、それに応じて年休の日数が増減されるものではない」と解されています(労基法コンメンタール)。 つまり嘱託に身分か変わって、最初の年休付与日が到来した時点で、初めて比例付与の対象となります。 「頭の回る」経営者の中には、比例付与の対象になるのなら、「定年時の年休残日数(最大で40日)も、日数按分で減らせるのではないか」と考える方もおられます。しかし調整規定は存在せず、繰越しとなる年休日数はそのままで変わりません。
|
|
労務相談と判例> 休暇、休日の相談 |
Copyright (C) 2009 Tokyo Soken. All Rights Reserved