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一般事業主行動計画と積立年休 (2010年2月号より抜粋) | |
子供の出産時に男性が積立年休を使用できるよう配慮したい |
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Q |
当社では、長期の病気欠勤に備え、年休の積立制度を設けています。現在、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定していますが、男性社員に子どもが生まれる際、「積立年休の利用を認める」という規定は可能でしょうか。 |
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A |
行動計画目標として適切 まず、積立年休制の法的位置付けを確認しておきましょう。年休の権利は2年で時効消減します(労働基準法第115条)が、その日数を積み立てておいて、病気等の理由があれば「時効消減したはずの年休消化を認める(有給で休暇を与える)」会社も少なくありません。 法律的には積立年休制を設ける義務はなく、法を上回る年休付与となります。この場合、「法定を超える日数については、労基法によらず労使間で定めるところによって取り扱って差し支えない」(昭23.3.31基発第513号)と解されています。 一般には、「正規の年休をすべて消化し、さらに病気のために欠勤せざるを得ない場合」というように、積立年休の利用条件を限定します。無制隈に日数を積み立てるのではなく、「最大60日まで」等のように上隈を設ける例も多いようです。 積立年休制のルールは労使が自由に決定できるのですから、お尋ねにあるように「子どもの出産に立ち会うため」等の理由を追加するのも可能です。ただし、労働条件の変更ですから、過半数労組(ないときは過半数代表者)の意見を聴取し、就業規則の改定手続を踏む必要があります。 次世代育成支援対策推進法第12条では、現在、常用雇用労働者301人以上の企業に対し、一般事業主行動計画(国、地方公共団体以外の事業主が実施する次世代育成支援対策に関する計画をいいます)の策定・届出、周知・公表義務を課しています。 平成23年4月1日以降は、強制義務の範囲が101人以上に拡大されます。それ以下の事業主も、努力義務とされているので、策定等に取り組むのがよいのはいうまでもありません。 行動計画では、次の3点を定めます。
策定を勧めるリーフレット等をみると、対策の一例として「子どもが生まれる際の父親の休暇の取得促進」が挙げられています。一般には、「有給の特別休暇(配偶者出産休暇)」制度を設けるケースが多いようです。 しかし、貴社のように「積立年休制の取得事由の一つとして、子どもの出産を追加する」というのも立派な対応の一つといえるでしょう。出産による休暇日数がそれほど多いとは考えられず、コストの割には「見栄え」のよい対策といえます。 制度を作った(規定を改定した)というだけで事足れりとせず、制度の趣旨を周知し、男性社員の利用率を高める努力が求められます。
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