出向と雇用保険の資格継続 (2010年11月号より抜粋)  
     
 

役員として出向する者が出向先で退職したとき失業給付はどうなる?

 

Q

技術交流のため、提携先から社員の出向を求められています。提携先の子会社で、役員として勤務することになりそうです。役員の場合、雇用保険の被保険者になれないため、本人が不安を感じています。退職した場合、救済策はないのでしょうか。

 

 
 
A

出向元の資格で保険給付が受けられる

在籍出向の場合、労働者は出向元と出向先と二重の雇用関係を結ぶことになります。雇用主が2つあるときは、「主たる賃金の支払者」に雇用される労働者として被保険者となります。

出向後も、貴社で賃金の大部分を支払っていれば、貴社で被保険者資格が継続します。出向先が賃金の支払者になれば、出向先で被保険者資格を取得します。しかし、出向先で役員に就任すれば、被保険者になることができません(労働者性を有する場合を除きます)。出向に出される従業員にしてみれば、退職時にどうなるのかという不安が生じます。

出向先で被保険者になれないときば、出向元で資格が継続する扱いとなります。しかし、役員として働いていた期間、出向元では賃金が支払われていません。基本手当は、離職の日以前2年間(特定理由離職者、特定受給資格者は1年)に被保険者期間が12ヵ月(同6ヵ月)以上あるとき支給対象となります。賃金支払い基礎日数が11日以上ある月を、被保険者期間1ヶ月とカウントします。

ただし、一定の理由があるときは、2年の算定対象期間が最長4年に延長されます。一定の理由は雇用保険法施行規則第18条に列挙されています。

  1. 事業所の休業

  2. 出産

  3. 事業主の命による海外勤務

  4. 国と民間企業との人事交流

  5. その他職安所長の認めるもの

5.の職安所長の認める理由の中に、「事業主の命による国内出向」が挙げられています。出向期間が2〜3年程度なら、その間、賃金支払い基礎日数がなくても、基本手当の受給資格を溝たします。長期出向は避けてください。

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