労働者派遣と労働安全衛生法 (2010年12月号より抜粋)  
     
 

派遣労働者を長時間労働させたとき医師に面談させる義務を負うのは誰か?

 

Q

派遣労働者を使用していますが、年末で業務が集中し、残業が続いています。仮に、時間外数が100時間を超えたとします。残業命令を発したのは当社なので労働安全衛生法による「医師による面接指導」は、当社(派遣先)で実施すべきなのでしょうか。

 

 
 
A

派遣元に医師の面談の実施義務がある

派遣労働者の雇用主は「派遣元」ですから、一般的には労働基準法・労働安全衛生法を適用する場合の事業主は派遣元を指します。しかし、派遣法にに読替規定が設けられていて、労基法等の特定条文を適用する際には、派遣先を事業主とみなすケースがあります。

たとえば、労働時間についての基本事項は派遣元が設定します(たとえば、時間外・休日労働協定の締結)が、具体的な指示は派遣先が出します。ですから、派遣元で結んだ時間外・休日労働協定の枠を超えて時蘭外労働に従事させた場合、法的責任を負うのは派遣先になります(派遣法第44条第2項)。

同様に、安衛法の健康診断についても、派遣先と派遣元の責任分担が定められています。第66条第2項(特殊健康診断)の規定を適用する際には、「派遣先のみを事業主とみなす」と規定されています(派遣法第45条第3項)。しかし、安衛法第66条第1項(雇入れ時・一般健康診断等)、同第66条の2(自発的健康診断)、同第66条の8、9(面接指導等)については、読み替え規定が存在しません。つまり、原則通り派遣元が法的責任を負うことになります。

ご質問にあるように時間外労働をさせた責任は、派遣先にあります。しかし、派遣先は「1ヵ月ごとに1回以上、派遣就業をした日、始業・終業の時刻、休憩の時間等を派遣元に通知」(派遣法施行規則第38条)しているので、派遣元も、当然、時間外が長時間に及んでいる事実を知る立場にあります。

時間外が100時間を超えた場合(起算日は派遣元事業主が定めます)、労働者から申出があれば、派遣元事業主が面接指導を実施しなければいけません。

▲画面トップ

 

 
  労務相談と判例> 労働時間の相談

Copyright (C) 2010 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所