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雇用調整をする部署に派遣社員を入れる (2011年2月号より抜粋) | |
定員減の部署で派遣労働者を受け入れたいが労組の同意必要か? |
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Q |
合理化推進のため、定員を1人、減らした部署があります。しかし、実際には欠員の穴を埋めるのは難しく、当面、派遣労働者を使いたいと考えています。しかし、労組の方から、「元のとおり、正社員を雇用すべき」と横やりが入り、困っています。派遣労働者を使用すると、法律上、問題があるのでしょうか。 |
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A |
理由を説明し理解を得るべき 会社と労組の交渉事項(団交事項)には、大きく分けて義務(命令)的事項と任意的事項の2種類があります。「労働条件その他の待遇や労使関係の運営に関する事項で、使用者に処分可能なもの」が、義務的事項に含まれます。 お尋ねのケースでは、「派遣社員と正社員のいずれを使用すべきか」が問題となっています。派遣社員は派遣元の社員ですから、会社が雇用する労働者には該当しません。会社側としては、「社員の採用に関しては団体交渉の申出を受けるけれど、派遣社員を受け入れるか否かは、会社の経営専権事項に属する」といって、労組の申出を突っぱねたいところです。 しかし、労組側からいえば、派遣社員の使用により、正社員1人を雇用する機会が失われることになります。元々、正社員が配置されていたポストであれば、労組としても黙認するわけにはいかないでしょう。 広く「組合員に関する労働条件その他の待遇」に関わる問題に含まれるので、義務的事項と判断される可能性が高いといえます。労組側から、正式に交渉の申出があれば、誠意を尽くして話し合うべきでしょう。労組法関係以外では、派遣法にも関連規定があるので、注意が必要です。派遣先指針(平11・労働省告示第138号)では、「雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストに、解雇後3ヵ月以内に派遣労働者を受け入れる場合には、派遣先労働者の理解が得られるよう努める」よう要請しています(第2の17)。具体的に講ずる措置として'ば、次のとおり例示されています。
この規定の趣旨について、「派遣業務取扱要領」では、「安易な雇用調整の結果、派遣を受け入れるということは許されるものではなく、解雇後3ヵ月以内かどうかにかかわりなく、慎重に対応することが適当」と解説しています。 派遣受入期間に制隈のある業務について1年を超える期間、派遣社員を使用しようとするときは、「過半数労組(ないときは過半数代表者)の『意見を聴く』」義務が課せられています(派遣法第40条の2第4項)が、「雇用調整ポストヘの派遣受入」に関しては、「労働者に理由を説明する」という表現が採られています。 しかし、実務的にいえば、過半数労組等が存在する場合には、労組を相手としてキチンと説明する機会を設けるのが望ましいでしょう。
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