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退職者と年休の計画的付与 (2011年5月号より抜粋) | |
退職者の年休申請から計画年休実施予定分の日数を差し引けるか? |
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Q |
従業員が退職願を出すと同時に、残りの年休をすべて消化したいと申し出てきました。会社として拒否は難しいと承知していますが、計画年休として定めた日数が5日分あります。使用予定日が既に決まっているのですから、その日が到来する以前に年休請求があっても認める必要はないと考えますが、いかがでしょうか。 |
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A |
退職日以降分は差し引けない 会社と過半数労組(ないときは過半数代表者)の間で労使協定を結び、「有給休暇を与える時期に関する定め」をしたときは、その定めにより有給休暇を与えることができます(労働基準法第39条第6項)。これを、年次有給休暇の計画的付与といいます。 適法に労使協定が結ばれたときは、「労働者の時季指定権および使用者の時季変更権はともに行使できない」(昭63・3・14基発第150号)と解されています。 お尋ねのケースで、従業員は計画年休分として留保された5日分も含め、残っている年休すべての消化を申請しています。これに対し、会社側としては「計画年休分については『労働者の時季指定権を行使できない』のだから、計画年休予定日が到来する前に労働者が年休の消化を申し出てきても、これに応じる必要がない」という回答を用意しておられるようです。 しかし、前掲通達では、「計画的付与は、当該付与日が労働日であることを前提として行われるものである。その前に退職することが予定されている者については、退職後を付与日とするような計画的付与はできない」と述べています。 「退職が予定されている者」という文言については、2とおりの読み方があり得ます。第1は「計画年休の労使協定を結んだ時点で、退職予定日が決定している者」という解釈、第2は「計画年休の実施日前に退職予定日が決定した者」という解釈です。 第1によれば、計画年休の実施日前に定年退職等が決まっている人については、労使協定の締結日時点で「計画年休の対象でない」点が定まります。しかし、協定の実施後、会社側からみれば「勝手に」退職を決めた人については、計画年休の対象から除外されないという結論になります。 第2によれば、退職日が決まったのが協定締結より前であれ、後であれ、その人については年休の計画的付与はできないことになります。 前掲通達では、「計画的付与は、付与日が労働日であることを前提とする」と解説しているので、退職日が決まったのが協定の後であっても、計画付与の予定日が労働日でない人については、計画年休の対象から除外される、つまり、第2の解釈が正しいと考えるべきでしょう。 労働基準法コンメンタールでは、「特別の事情により年休付与日があらかじめ定められることが適当でない労働者については、対象から除外することも含め、十分労使が考慮する」よう求めています。 協定で、退職者の扱いを明文化することも検討してください。
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