定年退職と雇用保険の受給資格 (2011年6月号より抜粋)  
     
 

再雇用基準を満たさず定年退職となった場合は特定受給資格者か?

 

Q

60歳定年に達する従業員がいますが、2年前に懲戒処分を受けているため、再雇用しない方針です。本人から、「会社の判断に基づき再雇用されないのだから、会社都合解雇になるはずだが、雇用保険の優遇はあるのか」と質問を受けました。ハローワークでは、特定受給資格者と認定されるのでしょうか。

 

 
 
A

労使協定を締結していない場合、特定受給資格者となる

高年齢者法により、現在、継続雇用の最低年齢は64歳に定められています。労使協定により基準を定めている場合、基準を満たさない労働者を継続雇用の対象から除くことが可能です(高年法第9条第2項)。

貴社の労使協定で、たとえば、基準非該当理由として「過去○年以内に、出勤停止以上の懲戒処分を受けた者」などと定めていれば、再雇用を拒否できます。

この条件に該当する人については、高年齢者法に基づく継続雇用の義務は生じません。ですから、従来どおり、定年退職として扱われ、特定受給資格者・特定理由離職者とは認められません。

注意が必要なのは、再雇用基準に関する経過措置が終了した点です。

従来、労使協定の締結に向け努力したにもかかわらず、協議が整わないときは、就業規則で基準を定める方式も認められていました(高年法附則第4条)。中小企業については、その期隈が平成23年3月31日に定められていました。

ですから、平成23年4月1日以降、法律に基づき再雇用の拒否が可能なのは、労使協定により基準を定めている企業に限られます。

協定方式に移行しないまま、従来の就業規則の規定に基づき、定年退職者を再雇用しなかったとします。この場合、「高年齢者の継続雇用の希望の有無に関わらず、事業主都合の離職」として取り扱われます。離職者が特定受給資格者と認められると、助成金(たとえば、特定求職者雇用開発助成金)等の受給に影響が及ぶおそれがあるので、注意が必要です。

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