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病気退職の社員と雇用保険の傷病手当 (2011年8月号より抜粋) | |
傷病で退職する社員が雇用保険の受給を希望するが申請できるか? |
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Q |
私傷病が長引き、退職を選択された従業員がいます。当面、健康保険の傷病手当金を受給しますが、受給期間終了後、引き続き、雇用保険を受給できるのでしょうか。病気が快癒しない場合、「求職活動をせず、雇用保険の傷病手当を受給する」ことは可能でしょうか。 |
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A |
求職の申し込みの後の傷病でないと傷病手当は受給できない 雇用保険の受給資格者が傷病で引き続き30日以上職業に就くことができない場合、ハローワークに受給期間延長申請書を提出し、失業給付(基本手当)の受給期間を最長4年まで伸ばすことができます(雇用保険法第20条)。病気で退職した人が、この手続を怠ると、失業給付の受給期間(原則1年)が経過した後、給付を受けられなくなってしまいます。 しかし、健保の傷病手当金は受給期間が最長1年6月に制限されています(健康保険法第99条第2項)。資格喪失後の継続給付(同第104条)についても同様です。 傷病手当金の受給期間終了後、雇用保険の基本手当を申請しようと思っても、病気では「労働の意思および能力を有する」という要件を満たしません。受給期間を延長しても、病気が治らない限り基本手当の申請はできません。 ご質問者は、この問題を回避するため、雇用保険の傷病手当(健保の傷病手当金と名前がよく側ていますが、別個の制度です)に目を付けられたようです。 傷病手当(雇用保険法第37条)は、求職者が疾病・負傷により職業に就くことができない場合に、支給されます。ただし、傷病期間が15日未満のときは、証明書により失業の認定を受けることができるので、傷病手当の対象になりません。傷病手当の額は、基本手当の日額と同額です。傷病手当を受けたときは、その分、基本手当の支給残日数が減らされます。 しかし、この手当は、「受給資格者がハローワークに出頭し、求職の申し込みをしたのち傷病に罹った場合」を対象としています。お尋ねのように、在職中から病気で求職の申し込みを経ていない場合、傷病手当の申請はできません。
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