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解雇予告手当の受け取り拒否 (2011年10月号より抜粋) | |
解雇通告者と連絡が取れず予告手当を手渡せないとき採るべき手段は? |
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Q |
若手の従業員ですが、最近、遅刻や無断欠勤が多くなって困っています。先日、また遅刻してきたので、注意したところ、プイっと職場から出て行き、そのまま連絡が取れません。解雇予告手当を支払って解雇したいのですが、本人が受け取りに来ない場合、どのように対応すればよいのでしょうか。 |
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A |
いつでも労働者が受け取りえる状態にしておけば問題なし 解雇予告の除外認定を受けない限り、解雇時には30日前の予告か平均賃金30日分の解雇予告手当の支払いが必要です(労働準法第20条)。 このほか、予告手当の支払いにより、解雇予告の日数を短縮することもできます。たとえば、10日分の手当を支払えば20日前の予告で足ります。 「30日前」の計算をする際には、民法の期間計算の原則が適用されます。民法第140条では、「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は算入しない」と定めています。ですから、通告の「翌日」から数えて30日が経過した時点で期間満了となります。 予告に代えて、手当を払うときも、この原則に従えば、払った日の翌日から効力が発生するという理屈になります。この場合、予告手当は、少なくとも解雇と同時に支払わなければいけません。 また、手当は賃金ではありませんが、賃金に準じて直接払・通貨払を行うよう指導がなされています(昭23・8・18基収第2520号)。そこで、通貨で直接本人に支払おうとしたけれど、本人が受け取りを拒絶する、または受け取りに来ない場合、予告の効力はどうなるかという問題が生じます。 受取拒否の場合、一番、確実な対応方法は「供託」です。民法第494条では、「債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済者は供託してその債務を免れることができる」と規定しています。この「債権者」という部分を「解雇予告を受けた者」と読み替えれば、そのものズバリの回答となります。 供託する場所は、「債務の履行地の供託所」です(民法第595号)。供託所は、都道府県法務局の支局等に設置されています。 しかし、現実問題として、そのような手続を踏むのは大変です。解釈例規では、「通常の賃金その他の債務が支払われる場合と同様に、現実に労働者が受け取り得る状態に置かれれば」よいという立場を採っています(昭63・3・14基発第150号)。 受け取り得る状態とは、次の条件を満たすときをいいます。
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