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1週間単位の非定型変形労働時間制 (2012年3月号より抜粋) | |
小規模小売店で勤務時間を日によって増減させたいがその手続は? |
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Q |
当社は製造業ですが、消費者の反応を知るために、小売店(アンテナ・ショップ)を出すことに決めました。小規模店舗の場合、1週間単位非定型的変形労働時間制を導入できると聞きましたが、どのような手続が必要なのでしょうか。 |
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A |
労使協定を締結し労基署へ提出 労働基準法の適用基準となる事業場は、「主として場所的観念によって」決定されます。事務的能力を勘案して一の事業という程度の独立性のないものを除き、支社や営業所等も、1つの事業場とみなされます(平11・3・31基発第168号)。 本社が製造業であっても、貴社のアンテナ・ショップが独立した事業場であれば、小売業として労働基準法の適用を受けます。 1週間単位非定型的変形労働時間制は、小売業、旅館、料理点または飲食店であって、かつ、常時使用する労働者の数が30人未満の事業場が対象とされています(労基法第32条の5)。同変形制を採用した場合、1日10時間の範囲内で、1週間の勤務割を弾力的に組むことができます。 基本的には、1週間の開始する前に当該1週間の各日の労働時間を書面で通知します。ただし、緊急やむを得ない事由がある場合には、前日までに書面通知することにより、あらかじめ通知した労働時間を変更できます(労働基準法施行規則第12条の5第3項)。 緊急やむを得ない事由とは、「天候の急変等客観的事実により、業務の繁閑に大幅な変更が生じた場合」に限られます(昭63・1・1基発第1号)。 1週間単位非定型的変形労働時間制を実施するときは、過半数労組(ないときは過半数代表者)と労使協定を結んだうえで、労基署に所定様式(第5号)による届出をしなければいけません。 同変形制については、1ヵ月単位や1年単位変形制と異なり、有効期間を定める法的義務はありません(平6・3・31基発第181号)。ですから、各社の協定例等をみると、「この協定は、○年○月○日より効力を発するものとする」等と記載するのみで、有効期間を定めないものが多いようです。 しかし、もちろん、期間を具体的に定めたり、自動更新をうたったりすることも可能です。ただし、その場合、「更新の都度、労働基準監督署への届出が必要」(前掲解釈例規)となる点には注意が必要です。 協定の届出のほか、就業規則の絶対的必要記載事項である始業・終業時刻等の変更になるので、就業規則(変更)届も必要になります。しかし、「非定型的な」変形労働時間制ですから、1週間が開始する前までは、各日の具体的な始業・終業時刻等が確定しません。 このため、就業規則の作成に当たっては、「1週間の所定労働時間を定めるとともに、各日の始業および終業時刻については、労働者に通知する時期、方法等を規定しておけば足りる」(労基法コンメンタール)と解されています。ただし、いくつかのパターンが決まっているときは、それらを具体的に記載しておくべきでしょう。
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