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休憩時間を分割して与える (2012年7月号より抜粋) | |
パソコン作業で能率向上のため小休止を導入したいが賃金支払いは? |
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Q |
パソコンで、顧客の申込み等を処理する従業員が5名います。現在は、目が疲れたり、久肩こりを感じたりしたとき、各自が適宜、小休止を入れる形となっていますが、労働効率が高いとはいえない状況です。全員、一律で休憩を取る方式に変え、その時間帯について賃金をカットすることは可能でしょうか。 |
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A |
完全に労働を免除されていれば賃金不要 パソコン作業に長時間従事すると、心身ともに慢性的な疲労が蓄積します。「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(平14・4・5基発第0405001号〕では作業環境・作業態様等に関する留意点を定めていますが、その中に「休止時間」に関する規定も存在します。 文字・数字データの入力やコールセンターの受注業務(単純入力型・拘束型)に従事する作業者については、「1連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10〜15分の作業休止時間を設け、1連続作業時間内において1〜2回程度の小休止を設ける」よう要請しています。 ですから、貴社で休止時間をルール化すること自体は、望ましいことです。しかし、賃金カットするとなれば、従業員の反発も予想されるので、法律的な角度からの検討が欠かせません。 一斉に休止時間を取るとして、その時間をどう位置付けるか、明確にする必要があります。賃金カットが可能なのは、「休憩時間」として処理する場合です。 休憩時間とは、「単に作業に従事しない手待ち時間を含まず、権利として労働から離れることを保障されている時間」をいうと定義されています(昭22・9・13発基第17号)。 休止時間の最中に、顧客から問い合わせ等があっても、「ちょっと、電話を受けて」などと、命令することはできません。休止の中断を予定するなら、その時間は「手待ち時間」とみなされます。 もちろん、パソコン作業以外の雑務を命じるのは、論外です。一斉に休憩を取ることが難しいなら、交代制を考える必要があります。 貴社が一斉休憩の適用除外事業(運輸交通業や商業が代表例)に属さなければ、休憩を交替で与えるための労使協定(一斉休憩の適用除外に関する労使協定書)の整備が必要になります。 休憩は「労働時間の途中に与える」義務が課されているのみで、分割に関する制限は課されていません。ですから、休憩として休止時間を与える場合、休止と昼休み等を合計し、法定以上の時間(6時間超なら45分以上、8時間超なら1時間以上)を確保できれば、問題ありません。 ただし、休憩があまり細切れになり、昼休みが短くなると、従業員も不便です。せいぜい、午前・午後に1回、正式の休憩時間を設定し、そのほか、連続作業時間が1時間を超えないように、適宜、「休息時間(手待ち時間としての休止時間〕」を与える等、工夫するのがよろしいでしょう。
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