病気退職と雇用保険の傷病手当 (2012年7月号より抜粋)  
     
 

病気を理由に退職した場合にすぐに失業給付を受給できるか?

 

Q

病気で、自己都合退職を考えている従業員がいます。本人は、すぐに失業給付を受けたいといっていますが、可能なのでしょうか。雇用保険の参考書をみると、傷病手当という給付があるようです。こちらの受給申請を勧めるべきでしょうか。

 

 
 
A

求職申込前の傷病では支給されない

自己都合により退職した人は、通常は3ヵ月の給付制限(プラス7日間の待期期間)を受けます。

しかし、正当な理由がある場合は、待期後すぐの受給が可能です。正当な理由の1つに、心身の障害、疾病、負傷等が挙げられています。

しかし、病気で働けないのなら、ハローワークに求職の申込みをしに行くのも難しいでしょう。労働の能力がなければ、失業給付の申請はできません。

傷病手当は、「受給資格者が求職の申込みをした後において、疾病・負傷のため職業に就くことができない場合」に支給されます。金額は、基本手当と同額です(雇用保険法第37条)。

お尋ねのケースでは、求職の申込みをする前に疾病状態にあるので、傷病手当の対象になりません。傷病により30日以上職業に就くことができないときは、ハローワークで受給期間延長の手続をします(雇用保険法第20条)。

基本手当の受給期間は原則1年ですが、延長申請すると最長4年に延びます。まだ、求職の申込みをしていない場合、申請書に医師の証明書と離職票を添付します(雇用保険法施行規則第31条)。

お尋ねの方が、健保の被保険者期間が1年以上あり、現に健康保険の傷病手当金(紛らわしいですが、こちらは名称に「金」が付いています)を受けていれば、退職後も傷病手当金を引き続き申請できます(資格喪失後の給付)。

受給期間延長の申請をし、健保の傷病手当金を申請できる間は手当金を受けるのが賢明です。

健康が回復したら、ハローワークに求職の申込みに行き、雇用保険の給付(基本手当)を受けるのがよいでしょう。

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