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私病休職の満了と解雇予告 (2012年8月号より抜粋) | |
病気でまもなく休職期間満了となる社員に30日前に予告の義務ありますか? |
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Q |
メンタルヘルス関連の病気で、長期間休んでいる従業員がいます。当社の就業規則では、勤続5年未満は休職6ヵ月で雇用契約が終了する旨、定めています。間もなくその期限が到来しますが、期間が満了する30日前に予告する義務がありますか。 |
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A |
自動退職なら解雇予告は不要 法律的な回答と、実務的な対応の2つに分けてご説明します。まず、法律的な話ですが、病気休職については、@「所定の期間が満了したときは解雇する」という規定とA「所定の期間が満了したときは、自動退職※とする」という規定の2タイプがあります。 就業規則で@タイプの表現を用いている場合、「期間満了時の労働契約の終了は労働基準法第20条にいう解雇であると考えられ、同法所定の解雇の予告をしなければいけない」と解されます(昭27・7・25基収第1628号)。 一方、Aタイプについては、定年等と同様に、一定の要件を満たせば、自動的に雇用契約が終了する趣旨と考えられます。ただし、「期間満了の翌日等一定の日に自動終了することを、明白に就業規則に定め明示し、かつその取扱いについて例外的な運用がなされていない」等の条件を満たす必要があります(安西愈「採用から退職までの法律実務」)。「業務貢献度が高く、会社にとって必要な人材」等を対象として、過去に温情的に退職時期を延長する等の措置が行われていると、自動退職が認められないケースもあり得ます。 貴社の傷病休職制度がAタイプのもので、前記要件も満たすなら、法律的には解雇予告を必要としません。 しかし、実務的にいえば、一定の前置期間を置いて、退職処理に移行すべきでしょう。メンタルヘルス関連の病気の場合、「下手に事前通告すると、ムリを押して出勤してくる可能性がある」のは事実ですが、退職処理後に一方的に事後通告すると、かえって話をこじらせるおそれもあります。 |
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