フレックスタイムと法定外休日勤務 (2012年10月号より抜粋)  
     
 

フレックス適用社員が休日出勤を事後申告してきましたが割増賃金は?

 

Q

フレックスタイム制の職場ですが、仕事に追われた従業員が、土・日連続で出勤しました。管理職には事後報告がありましたが、労務管理上、問題があるでしょうか。この場合、時間外・休日割増賃金等は、どのような計算になるのでしょうか。

 

 
 
A

法定労働時間の1箇月の総枠清算で足りる

フレックスタイム制では、本人が始業・終業時刻を決定します(労基法第32条の3)。しかし、休日まで自由に選択できるわけではありません。

施設の管理上の問題もあるので、休日に出勤する際には、必ず上司の許可を取るようルール化しておくべきです。

土・日と連続出勤しても、1週間に1日の休日が確保されていれば、労基法的には、3割5分増しの休日割増賃金の支払を要しません。第1週の日曜に休み、翌日の月曜から第2週の金曜まで12日連続で働いても、フレックスタイム制では、問題ありません。

もちろん、就業規則で「日曜出勤には3割5分増しの割増賃金」「法定外休日出勤には2割5分増しの割増賃金」等の規定が別に定めてあれば、それに従います。3割5分増し、2割5分増しの割増賃金を支払いたくないのであれば、土・日、出勤分を事前に他の日に振り替えるという方法も考えるべきでしょう。

法定外休日出勤等に関し、特段の規定がなく、法律どおりに処理するとします。フレックスタイム制の場合、1日・1週間単位の時間外労働という考え方はありません。「フレックスタイム制を採用した場合に時間外労働となるのは、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間」となります(平11・3・31基発第168号)。

休日に出勤したことで、1週間の総労働時間が40時間を超えても、それにより直ちに時間外労働となるものではありません。今回、土・日に出勤し、短期間に労働が集中した分は、1ヵ月の総枠の中で調整すれば足ります。同一週内で振替休日を与える等の措置も、必要ありません。

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