遺族補償年金の資格喪失 (2013年2月号より抜粋)  
     
 

労災の遺族補償年金を受給中に子どもが障害に該当すれば受給期間延長?

 

Q

当社の元従業員の家族(妻と子ども1人)で、遺族補償年金を受給中の方がいます。最近、高校生の子どもが重傷を負って、障害が残る可能性があるといいます。その方からご質問があったのですが、年金を受給中に障害等級に該当した場合、年金の受給期間が延びるのでしょうか(高校卒業時以降も受給継続)。

 

 
 
A

死亡時の障害のみが対象で、受給は継続できない

労災保険の遺族補償年金は、労働者の死亡当時生計維持関係にあった配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹に支給されます。

妻以外の家族には、原則として年齢制限が付いています。

子どもについては、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあること」が条件です(労災保険法第16条の2第1項第2号)。就学との関係でいえば、高校を卒業する年の年度末までの子どもが対象になります。ただし、障害等級第5級以上の障害がある場合、年齢の制限はありません。

お尋ねのご家族は、妻と子供1人が受給権者となっておられるようです。通常であれば、「18歳に達する日以後の最初の3月31日が終了」すれば、子どもの遺族補償年金の受給権が消滅してしまいます(労災保険法第16条の4第1項第5号)。

ご質問は、この子どもが事故で、障害等級に該当した場合の取扱いです。

障害者については特例が設けられていますが、「労働者の死亡の時から引き続き障害の状態にあるとき」という条件(前記の第5号ただし書き)が付されています。ですから、後から障害になっても特例の適用はありません。

ちなみに、国民年金・厚生年金の遺族年金にも紛らわしい規定が存在します。遺族基礎年金の対象となっている子どもについては、原則として「18歳に達する日以後の最初の3月31日が終了」すると受給権が消滅します(国民年金法第39条第3項第6号)。こちらは「障害等級に該当」すれば20歳まで受給期間が延びる規定です。「死亡から引き続き障害の状態」という要件は付されていません。

▲画面トップ

 
  労務相談と判例> 労災、通勤災害の相談

Copyright (C) 2013 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所