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コアタイムをまたいだ会議と業務命令 (2013年5月号より抜粋) | |
コアタイムをまたいで開催の会議に引き続き出席を命じられるか? |
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Q |
当社は、企画部門でフレックスタイム制を導入しています。会議等の時間帯はコアタイム内に設定していますが、会議の内容によっては予定時間を大幅に超えるケースもあります。この場合、「引き続き会議に出席する」よう強制できるのでしょうか。 |
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A |
法律論的には労働者の同意が必要 フレックスタイム制は、@「就業規則等で始業および終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる」、A「過半数労組(ないときは過半数代表者)と労使協定を結ぶ」ことが、導入要件とされています(労基法第32条の3)。労使協定では、次の6事項を定めます。
フレックス制のメリットは、従業員が始・終業時刻を自ら決定する限り、1日8時間・1週40時間を超えて労働しても、割増賃金の支払を要しないことです。 時間外労働とみなされるのは、清算期間(多くは1ヵ月)を通算し、総労働時間が月の総枠を超えた部分のみです。反面、使用者は各日の労働時間を指定するような業務命令を下せないというデメリットがあります。 フレックスタイム制の対象者であっても、各人の作業間の調整を図るため、会議等の開催が不可欠なケースもあり得ます。このため、会議等を開く場合には、コアタイム内に時間帯を設定するのが一般的です。 しかし、会議の開始・終了時刻を、常にコアタイム内に納めるのは至難の業です。たとえば、社外の重要人物のスケジュールに合わせて、予定を組む場合等も考えられます。 特別の事情があっても、上司は「何時に出勤せよ」等の命令を出せないのでしょうか。厳密な法律論としては、「労働時間の指定は、フレックスタイム制の趣旨に反する」という.ほかありません。 実務的な解決策は、「指定時間帯に出社するよう労働者の同意を求める」ことです。この場合、労働者自らの判断に基づき「始・終業時間を決定した」とみなされます。通常は、理を尽くして説明すれば、労働者は申出に同意してくれるでしょう。 お尋ねのケースでは、「会議が進行中」なのですから、常識のある人間なら、途中退席はしないはずです。 しかし、中には「フレックスタイム制の趣旨」を盾に、あくまで我を通そうとする従業員もいるでしょう。その場合の対応策としては、 フレックスタイム制の対象から除外することが考えられます。フレックスタイム制の適用範囲は個人単位で定めることができますが、基本的には「労働時間の自己管理能力のある」人のみを対象とすべきです。「勤務時間の自主管理の結果、業務に支障を生じさせる者等は、適用を除外する」旨、労使協定で明記すべきでしょう。
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