労災の遺族補償年金の支給開始 (2013年8月号より抜粋)  
     
 

月の途中で業務災害に遭って死亡したときは翌日から労災年金を支給?

 

Q

先日、工場内で設備の一部が倒壊しましたが、従業員は危機一髪のタイミングで身をかわしました。後から思うと、死亡事故になっていてもおかしくありません。そこで疑問が生じたのですが、労災保険の遺族補償年金は、死亡日から支払われるのでしょうか。最初の月は、日割按分で支給額を計算するのですか。

 

 
 
A

翌月から月単位で支給される

休業補償給付の場合、ケガにより休業した「日」ごとに給付を受ける権利が発生します。ただし、最初の3日間は待期期間で給付の対象になりません(労災保険法第14条)。休業日数については、「所定労働時間の一部休業についてのみ負傷当日を休業日数に算入する」というルールが定められています(昭27・8・8基収第3208号)。

残業中にケガをすると、翌日が待期期間の起点となります。ですから、ケガをした最初の月については、休業した日数から3日を引いた日数分の休業補償給付が支給されます。イメージ的には、日割按分で収入が保障されます。

しかし、従業員が死亡し、遺族が年金(遺族補償年金)を受ける場合、「日割」という考え方は適用されません。年金の給付は、「支給すべき事由の生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終わる」規定となっています(労災保険法第9条)。死亡日が月の初めの方であろうと、終わり近くであろうと、年金の支給開始は翌月からとなります。

年金は、「毎年2月、4月、6月、8月、10月および12月の6期に分け、それぞれその前月分まで」の2ヵ月を1単位として支払われます。

厚生年金と同様で、期日は「支払期月の15日(休日に当たるときはその直前の日)」とされています(平8・9・6基発第559号)。

遺族補償年金の額は、1年単位で給付基礎日額の何日分と定められています(母子2人なら201日分など)。支払期日には、その12分の2に相当する額が支払われることになります。

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