計画年休を時間単位で与えられるか (2015年3月号より抜粋)  
     
 

社員旅行で金曜の午後に全員を休ませたいが計画年休の対象に?

 

Q

当社では、従業員慰労のため、社員旅行を計画しています。金曜(所定労働日)午前の勤務を終了した後に出発し、土曜(所定休日)に帰宅します。金曜午後の取扱いをどうするかが問題ですが、人事部門から「計画年休にしてはどうか」という提案がありました。そうした処理で、問題ないでしょうか。

 

 
 
A

計画的付与として時間単位年休を与えることはできない

労使協定を締結すれば、年休残日数のうち「5日を超える分」について、付与日を指定することができます(労働基準法第39条6項)。これを年休の計画的付与といいます。

金曜(所定労働日)の午後、社員旅行の参加者は職場を離れ、仕事から解放されます。だからといって、その分を欠勤処理すれば、誰も旅行に参加しないでしょう。

そこで、この時間帯を年休として処理できないか、という発想が生まれます。金曜丸1日ではなく、半日だけですから、時間単位の年休になります。

平成22年施行の改正労基法により、時間単位の年休付与も可能となりました(労基法第39条4項)。ただし、労使協定の締結が条件となっています。協定では、次の事項を定めます。

  1. 対象労働者の範囲

  2. 時間単位で付与できる休暇日数(5日が限度)

  3. 時間単位の有給休暇1日の時間数

  4. 1時間以外を単位として年休を与える場合はその時間数

しかし、適法に計画年休・時間単位年休の労使協定を締結しても、「計画的付与として時間単位年休を与えることはできない」という解釈が示されています(平21・5・29基発0529001号)。

どうしても年休として処理したいのであれば、各人がそれぞれ時間単位の年休を申し出るという方法を採らざるを得ません。「慰労」という趣旨から考えれば、年休ではなく、会社が「旅行参加時間について労働義務を免除する(賃金カットしない)」という処理がよろしいでしょう。

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