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退職者が賃金を受け取りに来ない (2015年5月号より抜粋) | |
退職者が最終月の賃金を受け取りに来ない場合どう対処するか? |
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Q |
当社では、賃金は現金振込ですが、退職前の最後の1回に限って現金・直接払いとしています。退職前に、手続書類等を持参して、一度、来社するのを促すのが目的です。ところが、先日雇止めしたパートが、退職後、連絡が取れない状況にあります。本人が現れるまで、賃金の支払を保留してよいのでしょうか。 |
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A |
随時受け取り可能な状態にしておけばOK 賃金は、通貨で直接労働者に支払うのが原則です(労働基準法第24条)。しかし、労使協定を締結し、労働者から同意書の提出を受けるなど必要な手続を採れば、銀行振込も可能とされています(労働基準法施行規則第7条の2、平19・9・30基発0930001号)。 いったん、支払方法を決めたら、使用者が一方的に変えることはできません。貴社では、「退職前の最後の1回に限って現金・直接支払う」という'ルールを定めていたといいます。この点を、キチンと書類等で確認ができるか否かが問題となります。 一番良いのは、銀行振込に関する労使協定書、本人の同意書に、基本は銀行振込だけれど、最後の1回は例外と明記してあることです。しかし、なかなかそこまで周到な手続を採っている会社は少ないでしょう。出入りの激しいパートさんについては、雇入れ時の労働条件通知書に明記しておく、あるいは注意事項を記載した定型フォームを用意し、本人に手渡す等の方法がよいでしょう。 「最後の1回は現金払い」の約束を証明できなければ、基本的には、最後の1回も「淡々と」銀行振込すべきという理屈になります。 一方、現金払いの合意を立証できるのであれば、会社が一方的に銀行振込に変更する権限もないことになります。 民法では、「債務者は弁済の提供(準備)をすれば、債務不履行を免れる」という原則を定めています(第492条)。ご本人がいつでも受け取り得る状態にしておけば、責任を果たしたことになります(昭63・3・14基発第150号)。
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