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残業前提での勤務シフト (2015年6月号より抜粋) | |
初めから「残業ありき」で勤務シフトを組むのは法律に違反するか |
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Q |
当社では週休2日制の建前ですが、頻繁に公休日出勤を命じる形で勤務シフトを組まざるを得ません。いつもどおり勤務シフト表を渡したところ、「また休日出勤ですか。実質週48時間勤務(プラス毎日の残業)という状況は、労働基準法違反ではないですか」と尋ねられましたが、どう答えるべきでしょうか。 |
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A |
36協定に違反していなければ違法性は無い 毎週のように公休日の1日について、出勤を命じられると、従業員は、以下の勤務パターンを命じられているという「印象」を受けるでしょう。
労働基準法では、週の法定労働時間を40時間と定めています(第32条1項)。仮に週の所定労働時間を48時間と定めれば、明らかに労基法違反です。 判例(阪急トラベルサポート(第2)事件、東京地判平22・7・2)では、(実質)1日11時間労働という契約内容でしたが、「法定を超える部分は無効となり、契約労働時間は労基法で定める8時間となる」と論じています。 しかし、勤務シフト表を組む前に、あらかじめ時間外労働(法定外休日出勤)を命じてはいけないという理屈はありません。直前に休日出勤を命じられるより、一定期間、前倒しで内示を受ける方が、むしろ従業員にとってはありがたいはずです。 貴社が、毎週のように休日出勤を命じても、次のような形で労働時間管理がなされていれば、問題ありません。
つまり、「残業の発生を前提として勤務シフト表を組む」こと自体に違法性はありません。ただし、休日出勤が続いた結果、時間外・休日(36)協定に違反しないようキチンと管理しておく必要があります。36協定では、時間外労働の上限、休日労働の回数を定めます。36協定でいうところの休日労働とは、「法定休日労働(週1回の休日)」を指します。ですから、仮に休日労働は月2回まで等と協定して、月4回〜5回「法定外休日」に出勤させても問題は生じません。つまり、週1日の休日が確保されていれば、そもそも協定の必要がありません。 しかし、この法定外休日労働はすべて時間外労働に換算されます。1日8時間×4日休日出勤なら、それだけで32時間になります。「労働時間の延長の限度基準(平10・12・28労働省告示第154号)」では、1ヵ月の上限を原則45時間と定めています。法定外休日労働分だけで、この枠の大部分を使ってしまいます。 エスケープ条項(特別条項)を用いれば、45時間を超える労働も可能ですが、1年のうち半分しか発動することができません。毎週6日出勤は、時間外の上限の面から規制に抵触するおそれがあります。社員の定着という面でも、問題が大きいといわざるを得ません。
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