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判例 言葉だけでもセクハラ成立 (2015年8月号より抜粋) | |
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部下を一方的に侮辱 管理職として自覚を欠く 本事件は、「ことばのセクハラ」で懲戒処分が有効と判断されたものです。マスメディアでも大きく取り上けられましたが、人事管理者として詳細を理解しておくべき事案です。最高裁は、事前に注意を受けていなくても、被上告人は会社のセクハラ防止方針を熟知する立場の管理職であり、出勤停止・降格はやむを得ないと判示しました。 K館事件 最高裁判所(平27・2・26判決) セクハラが社会的制裁を受けるのは、いまや常識です。しかし、「ことばのセクハラ」に関しては、事の重大性を認識しない従業員も少なくありません。 会社側が注意を促しても、「コミュニケーションの手段として冗談をいっただけ」と弁明し、反省を示さないケースがむしろ多数派ではないでしょうか。 本事件では、裁判所の判断が2つに割れました。地裁(一審)と最高裁が処分有効、高裁(二審)が無効と判断しています。 微妙な事案だっただけに、なぜ最高裁が会社側に軍配を上げたのか、判断の分かれ目となった事実関係をしっかりと把握しておく必要があります。 処分を受けたのは、課長代理格の管理職2人です。派遣社員を含む女性従業員に対し、1年余にわたってセクハラ発言を繰り返したという理由で、出勤停止・降格処分を受けました。管理職2人は、処分が重すぎると主張し、裁判を起こしました。 セクハラとされたのは、「自らの不貞相手に関する性的な事柄を話す」「派遣社員は給与が少ないから『夜間の副業』が必要などとやゆする」といった行為です。ことばだけとはいえ、「女性従業員に対して強い不快感や嫌悪感ないし屈辱感を与えるもので、極めて不適切」であるのは、衆目の一致するところでしょう。 しかし、管理職側は、「@女性が明白な拒否の姿勢を示さないので、こうした言動も許されていると誤信した」「A事前に警告・注意をせず、会社の姿勢・方針を認識する機会を与えないままに、いきなり出勤停止等の処分を科すのは行き過ぎ」などと反論しました。 この点が、上下級審で判断が分かれた原因となっています。 最高裁は、@に関して「職場のセクハラ行為については、被害者が職場の人間関係の悪化等を懸念して、抗議をちゅうちょすることが少なくない」と述べ、被上告人に有利な事情として勘酌することは相当ではないと断じました。Aの主張についても、「管理職は、会社のセクハラに対する方針や取組みを当然に認識すべきであり、かつ、セクハラ発言が第三者のいない状況で行われていて、会社が警告・注意を与える機会がなかった」という理由で、斥けています。 軽微にみえる事案が積み重なる場合、軽い処分から順次適用していくのが人事管理の常道です。 しかし、相応の立場にある人間が職権を傘にハラスメントを繰り返すようなケースでは、裁判所も会社側の果断な処分を支持するということでしょう。
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