役員の社会保険料の申請免除 (2015年9月号より抜粋)  
     
 

会社役員の身分でも産前産後休業中の社会保険料は免除に?

 

Q

当社では、社長の親族(女性)が経理担当役員に就任しています。この女性が、近く産休に入ります。産前産後休業中の社会保険料の免除ですが、役員が申請しても問題ないでしょうか。休業に入るまで、この役員は他の従業員同様に毎日出社しています。

 

 
 
A

産休中は身分と関係なく免除される

平成26年4月から、産休中の社会保険料は、申請により免除されています。家族経営に近い小規模企業の場合、社長以外の「役員」は、労働者性も併せ持つのが一般的です。

労働保険の関係でも、労働者に含めて(役員報酬に相当する部分は除く)、保険料を納めているケースが大部分です。

お尋ねのケースでも、経理部長兼任のような形ですので、他の従業員と同様に免除申請が認められます。

ちなみに、兼務ではない純粋な「役員」については、育休と産休で考え方が異なるので注意が必要です。

「育児休業」に関しては、社会保険料の免除の対象になるのは、次のような休業です。

  1. 育介休業法により強制義務とされている育児休業(原則1歳まで、一定事由があれば1歳6ヵ月まで)

  2. 育介休業法により努力義務とされている育児休業に関する制度(3歳まで)など

育介休業法に定める育児休業等を取得できるのは、労働者に限られます。役員等は、対象外です。ですから、役員が育児のために休んだとしても保険料免除を申請する要件を満たしません。

一方、「産前産後休業」に関しては、労基法に基づく産前産後休業といった限定は付されていません。

出産以前42日(多胎妊娠は98日)、出産後56日の間で労務に服さないという条件を満たせば必要十分です。つまり、労働者でない(労働基準法が適用されない)役員等も免除申請の対象となり得ます。

兼務役員・純粋な役員のいずれに該当するにせよ、産前産後休業に関しては社会保険料の免除申請が可能です。

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