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36協定届 (2015年10月号より抜粋) | |
労基署への届出と別に正式な協定を結ばないと労基法に違反? |
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Q |
当社の労組役員が改選されましたが、新任の委員長から次のような質問を受けました。「過去の時間外・休日(36)協定をみようと思ったが、労基署への届出の写ししかない。協定書の本体はどこにあるのか」。当社では、届出書と別に協定書を交わす慣行がないのですが、こうした取扱いは問題があるのでしょうか。 |
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A |
様式に押印すれば労使協定となる 時間外労働等に従事させる前提として、労使は時間外・休日(36)労働協定を結ぶ必要があります(労働基準法第36条)。事業場に過半数労組が存在するときは、労組が労働者側の協定当事者となります。協定書には、通常、執行委員長が記名・押印します。 長年、労組が当事者であれば、労組側も協定書の写しを保管しているはずです。しかし、使用者は、就業規則等のほか、各種労使協定を労働者に周知する義務を負っています(労基法第106条)。ですから、36協定についても、労働者が閲覧できる状態になっているのが本来の姿です。 新任の委員長は、労組保管のファイルを探しても、協定書本体が見当たらないので、会社側に「36協定の写しをみせてほしい」と申し出たのでしょう。 36協定には、労働基準法施行規則第16条に定める事項を記載する必要があります。
一定の期間については、1日を超え3ヵ月以内の期間(2週間、1ヵ月、3ヵ月など)と1年の2種類を定めるのが原則です。 また、協定には有効期間の定めが必要です。「有効期間は、1年とすることが望ましい」(平11・3・31基発第169号)とされています。 一般論でいえば、まず労使が話しあったうえで協定書を締結し、そのうえで「このような内容で協定を交わしました」という届出を労基署に提出するという順序になります。中堅以上規模の企業(特に労組がしっかりしている企業)では、法定事項より詳細な事項を定めた協定書を別に用意するのが普通です。 しかし、「様式第9号に労働者代表の押印等を加えることにより、これを協定書とすることは差し支えない。この場合、協定書の写しを事業場に保存しておく必要がある」(昭53・11・20基発第642号)という解釈例規が出されています。貴社の扱いは、これに従う限り違法性はありません。 ただし、特別条項(エスケープ条項)を締結する際は、記載する情報のボリュームも大幅に増えます。また、「特別条項発動時の割増賃金率も定める」必要があります(時間外限度基準第3条)。 協定の内容が複雑になるような場合は、やはり原則どおり、別に協定書を作成するのがよいでしょう。
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