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1箇月単位変形制と就業規則の記述 (2015年11月号より抜粋) | |
変形労働時間制を取る際に就業規則へ具体的な勤務パターンを記載? |
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Q |
当社では、1ヵ月単位変形労働時間制を採用しています。しかし、就業規則では「労使協定で定めるところにより、1ヵ月を平均して1週40時間の範囲で変形労働時間制をとる」旨の抽象的な定めしかありません。具体的な始・終業時間や休日が、記載されていませんが、法律的に問題がないのでしょうか。 |
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A |
基本の考え方を記述すればOK 1ヵ月単位変形労働時間制を採る場合、@就業規則で定める方法とA労使協定で定める方法の2とおりがあります。いずれを選択するかは、「最終的には使用者が決定できる」とされています(平11・1・29基発第45号)。 貴社では、A労使協定方式を採用されておられます。この場合、労働基準監督署には「1ヵ月単位の変形労働時間制に関する協定届」と「就業規則(変更)届」の両方を提出する義務があります。 ですから、就業規則にも1ヵ月変形労働時間制に関する規定を置く必要があります。就業規則には、始業・終業時刻、休憩時間、休日等を具体的に記載しなければなりません。 ただし、就業規則は必ずしも1つづりの冊子として作成しなくても差し支えありません。別個の規則を設けるときは、「2以上の規則を合わせたものが就業規則となる」と解されています(労働基準法コンメンタール)。 労組が強力な会社では、労働協約の中で就業規則と同様の労働条件を細々と規定しているケースが多々あります。この場合、「労働協約との重複事項を省略し、『労働協約のとおりとする』という条項を就業規則の中に設けても差し支えない」(昭24・11・24基発第1296号)とされています。ただし、「就業規則の別紙として労働協約を添付する」ことが条件となる点に留意が必要です。 1ヵ月単位変形労働時間制の協定事項 労使協定を結ぶパターンでも、同様に考えてよいでしょう。1ヵ月単位変形労働時間制の協定を結ぶ際、以下の事項を記載します。
7.の有効期間のみは、労使協定方式による場合の必須事項です(労働基準法施行規則第12条の2の2)。1.〜7.は両方式共通ですが、これらの事項を具体的に記載したうえで就業規則に添付すれば、法律的には問題ありません。 ただし、業種によっては、月ごとに複雑なシフト勤務を組む必要があり、事前に労使協定で特定するの力灘しいケースもあります。 そうした企業では、「就業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続およびその周知方法等を定め、起算日前に周知すればよい」とされています(昭63・3・14基発第150号)。労使協定方式であれば、協定中に同様の規定を置くことになります。
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