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年休を斉一的取扱いに変える (2016年1月号より抜粋) | |
年休の付与基準日を4月に統一したいがすべて前倒しの必要あるか |
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Q |
新年度(平成28年4月)から、正社員の年休付与日を4月1日に統一する案が出ています。古株社員を除き、大多数は4月1日入社で10月1日が年休付与日となっています。しかし、中途入社者の中に、2月、3月が付与日となっている者がいます。たとえば、「付与日が1月から3月の者に限って、平成29年度から付与日を統一する」という対応はムリでしょうか。 |
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A |
繰り延べは法的基準を満たさない 平成5年に労働基準法が改正される前まで、年休は入社して1年経過後に与える規定でした。法改正により、勤続6ヵ月で付与する仕組みに改められました。 現在、たとえば中途入社で6月1日に採用された人は、12月1日に年休(正社員なら10日)を取得する権利を得ます。 年休残日数の管理という観点からいえば、付与日の統一がベストです。 ちなみに、平成27年の労基法改正建議(改正法案は、)では、「使用者が年休の取得状況を確実に把握できるよう、年休管理簿の作成を労働基準法施行規則で義務付ける」ことを提言しています。 しかし、年休付与日を4月1日で統一しようとすると、どうしても有利・不利が発生します。今まで4月1日が付与日だった人は、次の付与日までの間隔がちょうど1年になります。 しかし、付与日が3月1日の人の場合、1ヵ月で新付与日を迎えることになります。 貴社の案は、次のような形で線引きするというもののようです。
平成27年9月1日の入社者(Aさんとします)を例にとると、Aさんは翌年3月1日に年休の権利(10日分)を取得します。 付与日が4月から12月の従業員(1.のグループ)については、平成28年の4月1白に次の年休が付与されます。しかし、Aさんは2.のグループに属するので、平成29年度から付与日が統一されます。結果として、平成28年3月に10日分、平成29年4月に12日分の年休が付与されます。Aさんは若干不利益を受けますが、それなりにバランスの採れた処置のようにもみえます。 しかし、通達では、次のとおり、年休の斉一的取扱いの条件を定めています(平6・1・4基発1号)。
貴社の対応では、初回の年休付与日と次の年休付与日の間隔が13ヵ月になります。このように法定基準を下回る形で、付与日を移動させることは認められません。付与日の統一を図る際は、対象従業員全員について、すべて繰上げ方式を採る必要があります。
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