雇用保険の移転費 (2016年4月号より抜粋)  
     
 

遠隔地からの応募者を採用する時、雇用保険で引越し費用を補填できる?

 

Q

ハローワークを通じて求人活動を行った結果、他県からの応募者が最有力候補となりました。本人は「採用されたら、会社に近い場所に引っ越す」といっています。雇用保険から引っ越し費用が支給されると聞きますが、どのような内容なのでしょうか。

 

 
 
A

交通費と諸費用が支給される

雇用保険は、失業期間中の生活安定を助ける仕組み(たとえば基本手当の支給)というイメージが強いですが、それ以外にもさまざまなメニューを設けています。就職促進給付(雇用保険法第3章5節)というグループの中に、移転費(第58条)という給付項目があります。要件は次のとおりです。

@申請者が受給資格者等である
Aハローワークの紹介により就職(または公共職業訓練を受講)

お尋ねの方については、@受給資格者等であるか(失業して基本手当等を受給中だったか)、Aハローワークから紹介を受けたか一一を確認する必要があります。

また、「就職のため、移転が必要」と認定を受ける必要があります。たとえば、「往復所要時間がおおむね4時間以上であること」などの要件が設けられています。移転費には、6種類があります。

  1. 鉄道費(普通運賃相当)

  2. 船賃(同右)

  3. 航空賃(支払額)

  4. 車賃(1キロメートル当たり37円)

  5. 移転料

  6. 着後料

1から4は、実費相当が支払われるというイメージです。本人だけでなく、随伴する家族分も支給されます。5の移転料は距離に応じた定額(単身は半額)、6の着後料は3万8000円(単身は半額)です。交通費だけでなく、それ以外の諸費用も補助する趣旨です。なお、移転費については、拡充が検討されています(改正雇保法建議)。

本人は、移転の翌日から1ヵ月以内に支給申請書をハローワークに提出します。事業主は、支給決定後、移転証明書をハローワークに送付します。

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