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女性の就業制限 (2016年11月号より抜粋) | |
有害業務の求人に女性から応募があったが不採用として問題ないか |
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Q |
当社業務の中には、有害物を取り扱うものが含まれます。求人を行っても通常は男性の応募しかないのですが、,今回、女性から問い合わせがありました。採用に躊躇(ちゅうちょ)していますが、女性だからといって、「一律にお断りするのもいかがなものか」という意見があります。どのように対処すべきでしょうか。 |
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A |
制限業務に該当するかを確認する必要がある 事業主は、従業員の募集に際し、「性別にかかわりなく均等な機会」を与える義務を負います(均等法第5条)。 しかし、「母性保護」の観点から、女性を対象として、一定の有害業務について就業制限が設けられています(労働基準法第64条の3)。法で制限が課せられている業務であれば、当然、女性の採用はムリという結論になります。 女性の就業制限の詳細を確認しましょう。労基法第64条の3では、「重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務」に就かせてはならないと規定しています。 貴社の「有害物を取り扱う業務」は、この規定に抵触するようにも思えます。しかし、確認すべき点が2点あります。 第1は「有害物発散場所の業務とは何か、」という問題、第2は「妊娠していない女性も母性保護の対象になるのか」という問題です。 まず第1点に関してですが、就業制限の対象になる業務の範囲は女性労働基準規則第2条1項に規定されています。「ボイラーの取扱いの業務」「高さ5メートル以上で墜落のおそれのある業務」「著しく寒冷な場所における業務」など、24種類(号)が列挙されています。 その18号に「有害物発散場所の業務」の定義があります。18号に関しては、法律改正があり、現在は「PCB」「マンガン」「鉛およびその化合物」「メタノール」など26の物質が挙げられています。 こうした物質が発散される場所で、かつ、次の条件をみたす場合に就業制限の対象となります。
次に、「妊産婦以外への適用」の問題を考えてみましょう。妊婦については、上記の24号業務のすべてについて就業が制限されます。しかし、産婦に関しては、本人の申出がなければ就労可能な業務等も存在します。 妊産婦以外(その他の女性)に関しては、「重量物取扱い業務」と「有害物発散場所の業務」の2種類のみ、就業制限の対象とされています。 貴社業務が「有害物発散場所の業務」に該当する場合には、妊産婦以外であっても採用は不可です。そうでなければ、改めて業務内容を丁寧に説明したうえで、ご本人の意思を確認すべきでしょう。
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