労災保険関係の成立 (2016年11月号より抜粋)  
     
 

自社建屋の改築工事を従業員に行わせる場合に労災保険の扱いは?

 

Q

当社は製造業ですが、設備の老朽化に伴い建屋・昇降設備等の改修を行います。メンテナンス担当をはじめ関連技能を要する人材もいるので、社内の人間を中心として(一部外部業者利用)、改築工事を行う方針です。業務内容としては「建設」に該当しますが、労災保険の関係はどのように処理されるのでしょうか。

 

 
 
A

規模が大きいときは建設の事業として分離する必要がある

社屋・設備の改修を行う場合、対応は2とおりあります。

第1は外部発注です。その際、工事を請け負った建設業者が、有期の保険関係を成立させます(規模が小さければ、有期一括の対象になるケースも)。

第2は、内部の従業員を中心として対応する形です。社内に、建設工事を行う「職場」が生じることになります。

労災保険は、基本的には事業単位で適用されます。「同一場所にあるものは分割することなく一の事業」として取り扱うのが原則です(昭62・2・13発労徴第6号)。

製造業等で、小さな改修工事を行うのはよくある話です。業務内容としては「建設」ですが、いちいち建設事業として分離処理するのは現実的ではありません。

ただし、工事の規模が大きく、実態として独立していると認められる場合には、例外的な対応が必要になることもあります。

商店・旅館等の例ですが、「事業主が直営で建物の増築・修理を行う場合」について、処理方法を示した解釈例規があります(昭28・8・6基収第3173号)。

「大工・左官等の労働者を雇い入れ、自己の店舗の増築等を行う場合、1年以内の期間において使用労働者延人員300人以上のものについては、別個に保険関係を成立せしめること」としています。

貴社では外部業者の利用も考えているということですが、請負として部分的発注(外注)する部分は関係ありません。自社で労働者として使用する延人数が、一定数を超えるときは、労働基準監督署に相談されるのがよいでしょう。

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