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雇入れ時健康診断の省略 (2017年3月号より抜粋) | |
採用時に診断書を提出させれば入社時の健康診断は必要ないか |
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Q |
当社では、久しぶりに新規学卒者を採用し、4月に予定どおり入社します。採用選考時に本人から健康診断書を提出してもらい、健康状態は確認済みです。労働安全衛生法上には、雇入れ時の健康診断の規定がありますが、省略して構わないでしょうか。 |
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A |
入社前3か月以内の診断書の提出で省略可能 事業者は、雇入れ時の健康診断を行わなければなりません(労働安全衛生法施行規則第43条)。対象となるのは、「常時使用する労働者」です。 具体的には、「1年以上使用する予定で、週の労働時間が正社員の4分の3以上」という条件を満たす場合、実施義務が生じます。週の労働時間2分の1以上のときは努力義務となります(平19・10・1基発第1001016号)。正社員の入社であれば、当然、健診の必要があります。 検診項目は、次のとおりです。
健診の結果は健康診断個人票に記録し、5年間保存しなければなりません(安衛則第51条)。 雇入れ時とは、「雇入れの直前または直後」をいいます(昭23・1・16基発第83号)。入社前であっても、健診の実施は可能です。また、本人が入社前3ヵ月以内に医師の健診を受けていて、その結果を会社に提出したときは、雇入れ時健診を省略できます。 ただし、本人が提出する診断書が上記の@〜Jのすべての項目をカバーしている場合に限ります。足りない項目があるときは、その分について別途健診を実施する必要があります。 お尋ねのケースでは、採用選考時に診断書の提出を受けたということです。しかし、新規学卒者の場合、内定通知の時期は半年以前となります。経団連の採用ガイドラインでは正式な内定時期を10月1日としていますが、実態はそれより相当早いといわれています。 3ヵ月より前の時期に提出された診断書があっても.、雇入れ時健診を省くことはできません。 ちなみに、選考時に「画一的な健診を実施する」ことは自粛すべきとされています。通達では、次のように述べています(平5・4・26事務連絡)。
採用時に健診を実施する場合であっても、職務遂行に関連のある項目に限定し、本人の同意を得るのが原則です。
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