保険外併用療養費 (2017年5月号より抜粋)  
     
 

大病院で診療したら高額の初診料を別途請求されたが根拠は何か

 

Q

従業員が近所にある大病院で受診したところ、高額の初診料を請求されたとびっくりしていました。従来から、「差額ベッド代」のような名目で、追加料金の支払を求められる場合があると聞いていましたが、それと同じような考え方なのでしょうか。

 

 
 
A

保険外併用医療費の選定医療に該当する

健康保険の被保険者(70歳未満)が病院等で治療を受けた際、通常は窓口で3割相当の一部負担金を支払います。しかし、健保の対象とならない治療・サービスも存在します。

ご質問にある「差額ベッド代」がその代表例です。特別療養環境室(4人以下で一定以上の広さのある病室)の利用を希望した場合、通常の入院費用は健保でカバーされますが、それを超える分が「室料差額」として別に徴収されます。以前は特定療養費と呼ばれていましたが、現在は「保険外併用療養費」という名称に改められています(健康保険法第86条)。

平成28年に法改正が実施され、保険外併用療養費の対象となるサービス等は3種類に増えました。

  1. 評価療養(健保法第63条2項3号)
    いわゆる「先進医療」で、現在は保険の対象とされていないけれど、将来的に保険給付として認めるかどうか「評価」を行う療養のことです。

  2. 患者申出療養(同4号)
    改正により追加された項目です。次の4種類があります。

    • すでに実施されている先進医療を身近な医療機関で実施

    • 先進医療の対象外の患者への療養

    • 先進医療として実施されていない療養(一部の国内未承認薬の使用等)

    • 治験の対象にならない療養

  3. 選定医療(同5号)

差額ベッドはこの項目に含まれます。このほか、紹介状なしに大病院で初診を受ける際、病院が定める特別料金の請求を受けることがあります。平成28年4月から、特に500床以上の病院で扱いが厳しくなっているようです。

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