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パートの産休と出産手当金 (2017年12月号より抜粋)

フルタイム勤務でないパートは公休日に出産手当金を請求できるか

 

Q 週4日勤務のパートが、産休に入りますが、健康保険の出産手当金について質問があります。正社員(フル勤務者)の場合は、公休日も含めて給付対象となります。このパートさんは、週3日の公休日すべて手当金を申請できるのでしょうか。

 

A 公休日の出産手当金は請求できる

 

出産手当金は、産前42日(多胎妊娠は98日)、産後56日のうち、「労務に服さなかった期間」が対象となります(健康保険法第102条1項)。

 

産休に入った後は、無給の公休日も手当金の支給対象となります。お尋ねのパートさんであれば、週3日の公休日も手当金の申請ができます。

 

なんだか、パートの方が優遇されているような印象を受けますが、手当金の計算方法を考えればそうでないことが分かります。出産手当金の金額は、原則として「直近12ヵ月の標準報酬月額平均の30分の1の3分の2」です(同条2項)。平成28年の4月から、計算方法が以前と少し変わっています。

 

フル勤務者(週5日)のAさんと週4日勤務者のBさんで比較してみましょう。

 

仮に2人の日給が同じであれば、Aさんの直近12ヵ月の月給(標準報酬月額)平均はBさんのおおよそ4分の5倍になります(出勤日数比例)。

 

その30分の1(1日当たりの賃金額)の3分の2が、出産手当金の額となります。出産手当金の額についても、Aさんの額はBさんの4分の5倍となるはずです。

 

AさんもBさんも、産前産後で合計98日(14週間)休業したとします。その間、Aさんの公休日は28日(2日×14週)、Bさんの公休日は32日(3日×14週)ですが、どちらも98日分の出産手当金が支払われます。

 

ただし、1日当たりの出産手当金の額に差があるので、Aさんのもらった合計額はBさんの4分の5倍になります。

 

公休日が多いと、日給が同じでも1日当たりの出産手当金の額が小さくなるので、給付面のバランスは取れているのです(月給の差をそのまま反映)。