休憩時間の宗教の勧誘を禁止できるか (2018年1月号より抜粋)  
     
 

休憩時間に宗教の勧誘活動をする従業員を自粛させたいが可能か

 

Q

新しく採用したパートさんですが、「宗教上の勧誘行為」に熱心すぎて、同僚に煙たがられています。休憩時間中に、集会の文書を配布し、しつこく参加を促します。上司が注意したところ、「信教の自由の侵害だ」と怒り出しました。デリケートな問題なので、会社として、こうした行動を制限できないのでしょうか。

 

 
 
A

会社の管理権に属するので禁止できる

憲法では、「信教の自由」を謳っています(第20条)。しかし、「自由」といっても相対的なもので、他人の権利を侵害することは許されません。

労働基準法でも、「信条を理由として、差別的取り扱いをしてはならない」と規定しています(第3条)。信条とは、「特定の宗教的または政治的信念」を指します(昭22・9・13発基第17号)。こちらも、「信条に従って行う行動が、企業の秩序維持に重大な影響を及ぼす場合、秩序違反行為そのものを理由として差別的取り扱いをすることは本条違反でない」と解されています(労働基準法コンメンタール)。

そこで、お尋ねのパートさんについては「勧誘の態様」が問題となります。休憩中の行為に関して、基本的な考え方を確認しましょう。

まず、文書の配布ですが、ビラ配りについて、「従業員・外来者が自由に出入りのできる場所においては、その施設の目的を考え、その目的を損なわない方法であれば、容認すべき限度を超えたものとはいえない」とする判例があります。

単に、集会の案内文書を手渡す程度であれば、同僚も軽く受け流すのが普通です。しかし、従業員が疲労の回復を図っているのに、しつこく勧誘行為を繰り返すのであれば、放置はできません。政治的行為の禁止についてですが、「休憩時間が一部労働者の政治行為によって妨げられるような場合、使用者が政治活動を一般的に禁止しても、事業場管理権の濫用ではない」とした判例もあります。信教の自由も「絶対的なものではなく」、懲戒等の対象にもなりえる点を、パートさんに理解してもらう必要があります。

▲画面トップ

 
  労務相談と判例> 人事制度と懲戒の相談

Copyright (C) 2018 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所