管理職の労働時間の把握 (2018年3月号より抜粋)  
     
 

時間外割増の適用外である管理監督者であっても始業・終業時刻を申告?

 

Q

私は「管理職に割増賃金は関係ない」という理解だったのですが、深夜割増だけは支払う義務があるという話を耳にしました。当社では、一般従業員は残業時間の申告をしますが、管理職に報告義務はなく、当然、賃金台帳にも記載なしです。今後は、管理職にも始業・終業時刻の申告を義務付けるべきなのでしょうか。

 

 
 

深夜労働分は把握が必要

改正労働基準法案で話題になった「高度プロフェッショナル制度」は、時間外・休日・深夜割増のすべてが適用除外となる仕組みです。

しかし、ご質問にあるとおり、管理職はオール・フリーではありません。「残業代がつかない」労働者は、労基法第41条に列挙されています。

  1. 農業・水産業等の従事者

  2. 管理監督者および機密の事務を取り扱う者

  3. 監視・断続労働従事者

この3種類の人たちは、「労基法第6章・第6章の2の労働時間、休憩、休日に関する規定」が適用されません。

しかし、労働時間と深夜業ということばは区別して使用している関係から、深夜業の割増賃金に関する部分は除外にならないと解されています(労働基準法コンメンタール)。

つまり管理監督者等であっても、法律の原則上、深夜業(午後lO時〜翌朝5時)に従事すれば割増賃金の支払いが必要になります。

しかし、管理職は始業・終業時刻の申告等はしないのが通例です。

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平29・1・20基発0120第3号)でも、「労基法節41条に定める者およびみなし労働時間制が適用される労働者」は、労働時間把握義務の対象外である旨述べています。

また、使用者は賃金台帳を作成する義務を負います(労基法第108条)が、記載事項の中には「労働時間数」(労働基準法施行規則第54条1項5号)「36協定等による延長時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数」(同6号)が含まれています。

ただし、「労基法第41条に該当する労働者については5号(労働時間数)・6号(延長時間数等)は、これを記入することを要しない」(労基則第54条5項)と定められています。

この条文を素直に読めば、管理職等については、深夜労働時間数も含め賃金台帳に記載する必要がないという理解になります。

それでは、前述した「深夜業に割増が必要」という議論との整合性はどうなるのでしょうか。実は、解釈例規の中で「深夜労働時間数(に限って)は記入するよう指導されたい」と正反対のことが述べられているのです(昭23・2・3基発第161号)。

実務的にいえば、管理職であっても、深夜労働時間に関する「把握義務があり」、かつ「賃金台帳に記載する必要もある」という結論になります。

深夜割増込みで管理職手当を定める場合も、時間数については管理職に対して申告を求めるのが適切です。

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