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私傷病で退職する社員と傷病手当 (2018年3月号より抜粋)

私病で休んでいた従業員が退職するが離職票を交付すべきか

 

Q 私傷病で休職していた従業員が、期間満了で退職します。職探しはムリそうな状況ですが、本人に離職票を交付する必要があるのでしょうか。ハローワークに離職票を持っていくと、雇用保険の方から傷病手当が出るという話も聞きます。

 

A 交付するのが原則 受給期間延長制度がある

 

健康保険と雇用保険と両方について、検討します。まず、現在は、休職中で健康保険から傷病手当金を受給していると思われます。引き続き1年以上の被保険者期間があれば、求職後も継続して傷病手当金を請求できます(健保法104条)。給付期間は、支給開始から1年6ヵ月です。

 

一方、雇用保険ですが、正当な理由(傷病)による離職(特定理由離職者)と認められれば、離職の日以前1年間に被保険者期間6か月以上で、基本手当の受給資格を得ます。

 

しかし、ご質問の方は、病気で職探しが難しい状況にあります。病気で引き続き30日以上職業に就くことができない場合、受給期間の延長手続きが可能です。基本手当の支給期間は原則1年ですが、最長4年まで期間が延びます。

 

ハローワークに提出する延長申請書には、「医師の証明書その他の延長理由を証明する書類および受給資格者証(交付を受けていないときは離職票)」を添えます(雇保則第31条)。ですから、本人が求職活動を先延ばしにする場合も、事業主はハローワークへ離職証明書を提出し、本人へ離職票を交付するのが原則です。

 

確かに、雇用保険には傷病手当という保険給付があります(雇保法第37条)。しかし、対象になるのは、「ハローワークに求職の中込みをした後において、傷病のために職業に就くことができない」場合です。

 

受給資格を得ていなければ、傷病手当の申出はできません。

 

当面は、健保の傷病手当金(資格喪失後の継続給付)を受給します。病気が治った時点で、新たにハローワークに求職の申込みをし、基本手当の支給申請をする形となります。