労組が過半数割れした場合 (2018年7月号より抜粋)
労組が過半数以上の要件を満たさなくなったがユシ協定の効力は?
Q 当社では、ずっと以前に労組(正社員のみ)との間でユニオン・ショップ協定を結んでいます。しかし、パートと高齢者の増加により、過半数を割り込んでしまいました。時間外・休日労働(36)協定の締結相手は、過半数代表者に変えざるを得ません。こうした場合、ユシ協定の効力は存続するのでしょうか。
A ユニオン・ショップ協定とは、「採用された後は労働組合に加入しなければならず、脱退すれば解雇の対象となる」という内容の協定です。
組合に入るか否かは、個人の自由という考え方は有力です。加入すると組合費の支払義務が発生しますし、諸活動への参加も求められます。
しかし、労働組合法では、一定の条件の範囲内で、ユニオン・ショップ協定を有効としています。条文は、「労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げない」となっています(労組法第7条1項ただし書き)。
「過半数労組」であることが条件ですが、この「母数」は「工場事業場に雇用される労働者」全体です。ただし、「使用者の利益代表者(労組法第2条ただし書き1号に該当する労働者、人事権をもつ上級管理者や労務・人事部の管理者等)」は除かれます。同種の労働者(たとえば正社員)に限られるという意味ではありません。
ですから、正社員のみを組織する企業内組合の場合、お尋ねにあるようにパートや高齢者の比率が高まると、自動的に過半数を割り込んでしまうという問題が発生します。正社員の100%が組合員であっても、労組法で定める要件を満たさなくなります。
行政側の解釈では、「締結時には過半数を代表していて、その後に過半数を失った場合は、協定は失効する」と述べています(労組法コンメンタール)。