資格喪失後継続給付(2018年11月号より抜粋)
退職後も傷病手当を受給するためには4日の欠勤期間が必ず必要か
Q 体調不良で休んでいた従業員から、「治療が長引きそうなので、退職したい」と申し入れがありました。残りの年休を消化した後、退職とする予定ですが、資格喪失後の継続給付について質問があります。「欠勤を開始して4日後に離職手続きを取るべき」という話を聞いたことがありますが、どういうことでしょうか。
A 年休消化も待期期間に
傷病手当金を受給できるのは、「健保の被保険者(任意継続被保険者を除く)」です(健保法99条)。カッコ書きは、平成19年施行の改正法により追加されたものです。
任意継続の手続きを採っても、被保険者資格を喪失した後に生じた病気等について、傷病手当金を申請することはできません。しかし、ご質問にあるとおり、在職中の傷病については、一定の要件を満たすことを条件に、資格喪失後の継続給付を受けることが可能です(任意継続被保険者になるか否かは関係なし)。
要件は、次のとおりです(健保法104条)。
- 資格喪失の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者等を除く)期間がある
- 資格を喪失した際に、傷病手当金(出産手当金)を受けている
傷病手当金を申請する際には、連続3日の待期期間が満了している必要があります。待期期間が経過し、4日目になって傷病手当金を受けられる状況になった後、離職すれば②の要件を満たします。
ご質問で「4日後に離職手続きを取る」とは、この待期期間を踏まえた対応と考えられます。しかし、「欠勤を開始してから」という表現は、誤解の元です。
待期期間は「労務不能」のみが条件で、報酬の支払の有無は関係ありませんから、年休消化中であっても3日が経過すれば待機期間は満了です。年休消化中であっても、3日が経過すれば待期期間は満了です(待期期間は「労務不能」のみが条件で、報酬の支払いは関係なし)。4日目以降に退職日を設定すれば、欠勤期間を設けなくても、継続給付の対象となります。