介護休業給付と年金(2018年12月号より抜粋)
在職老齢を受けている高齢者が介護で休業する場合に雇保の給付は?
Q 嘱託再雇用者ですが、奥さんの介護のため、休業を取得したいといっています。やむを得ない事情で、法律に基づき付与するつもりです。ちょっと心配なのは、この方がすでに年金(60歳代前半の老齢厚生年金)と高年齢雇用継続給付を受給されている点です。重ねて、介護給付を申請できるのでしょうか。
A 年金・雇用継続給付を調整
現在(休業前)、ご質問にある再雇蟹用者は賃金と老齢厚生年金、雇用保険の雇用継続給付の3種類の収入を得ています。老齢厚生年金は、在職老齢の仕組みにより減額されるほか、高年齢雇用継続給付との併給調整も受けているはずです。
この方が、育介法に基づき、介護休業を取得したとします。その間、会社は賃金を支払う義務を負いません。一方、ご本人は雇用保険から賃金日額の67%相当の介護休業給付金を受給できます。
その場合、年金・雇保の給付に影響があるのでしょうか。
年金と雇用継続給付は、暦月単位で支給の有無・金額が決まります。高年齢雇用継続給付に関しては、「雇用月の初日から末日までの間に介護休業給付の対象となる休業を取得していたとき」は、支給されないルールです(雇用保険業務取扱要領)。
一方、年金ですが、1ヵ月すべて介護休業を取得したとき(高年齢雇用継続給付を受けられないとき)は、雇用継続給付との併給調整が解除されます。
暦月で丸1ヵ月休むときの処理は、比較的シンプルです。
しかし、介護休業(法律上は、最長で93目間)は、通常は暦月の途中に開始し、途中で終了します。この半端となった月の扱いも確認しておきましょう。
たとえば、対象月のうち、10日間は働いて賃金を受け、20日間は無給だったとします。高年齢雇用継続給付は、10日分の賃金を基準として計算されます。年金は、在職老齢による減額と継続給付との併給調整の両方の影響を受けます。