雇用保険の移転費 (2019年3月号より抜粋)
中途採用者の交通費・引っ越し費用は妻の分も含めて請求が可能?
Q 当社では、平成31年度も新卒者の補充ができませんでしたが、幸い、中途で有望な人材を採用できました。既に結婚していて遠隔地から夫婦2人で引っ越してくるため、相当程度の費用が発生します。ハローワークでは、就職に伴い引っ越しが必要なとき、給付があると聞きますが、どのような内容でしょうか。
A 随伴する家族の分も含む
雇用保険給付の中に、移転費という項目があります(雇保法第58条)。
ご質問にあるとおり、就職に伴う(職業に就くための)引っ越し費用を補填するものですが、前提条件があります。
まず、本人が基本手当等の受給権者等でなければなりません。つまり、ハローワークに出頭し、基本手当等を受給しながら、仕事を探している人が対象になります。
次に、仕事の紹介者が、ハローワーク、特定地方公共団体(厚労大臣に通知をして無料の職業紹介を行う地方公共団体)、職業紹介事業者のいずれかでなければなりません。知人の口利き等により就職したときは、申請ができません。
ちなみに、従来はハローワークの紹介が条件でしたが、平成30年1月から民間の職業紹介事業者等の紹介によるときも移転費が支給される規定に変わっています。
貴社の中途採用者がハローワーク等を通じて就職が決まったとして、そのほか以下の条件も満たす必要があります(雇保則第86条)。
①待期・給付制限期間(自己の責め等による給付制限期間除く)を経過した後、就職したこと
②ハローワーク所長が引っ越しの必要を認めること
③事業主が就職準備金等を支給しないこと
④雇用期間が1年未満でないこと
移転費は交通費関連とその他諸費用関連に分かれます。移転費は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃に分かれていますが、もちろん、「随伴する家族について」も支給されます(雇保則第88条5項)。その他関連は、移転料と着後手当に分かれ、距離別に金額が定められています(単身者は半額を支給)。
改正入管法の本則では、新たな外国人受入れを認めるのは、「外国人により不足人材を確保すべき産業上の分野(特定産業分野)」と規定しています。
具体的な産業分野は、政府が「基本方針」で示すとされています(入管法第2条の3)。
基本方針に基づき、法務大臣および各産業分野の所管省庁の長等が、「運用方針」を定めます。運用方針では、外国入の受入れが必要となった状況に関する事項のほか、人材充足時の受入れ停止に関する条件等にも言及しています。
つまり、特定産業分野は入材不足の状況に応じ、機動的に調整される(増えたり減ったりする)ということです。