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退職後の出産手当金 (2003年4月号より抜粋) | |
退職しても出産手当金を引き続き受けることが可能なのでしょうか? |
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Q |
女性従業員が現在出産休暇中ですが、体調不良のため育児休暇取得は断念し退職したい旨申し出がありました。ただ、心配なのが出産手当金の扱いです。4月以降、改正健保法が施行されますが、従来どおり手当金を受給できますか。資格喪失後の給付がなくなるという話を耳にして、心配しています。 |
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A |
旧健康保険法第55条に定められた「資格喪失後の継続給付」は、平成14年9月に条文の整理・並べ替えにより第98条に移りましたが、平成15年4月には削除され「被保険者が日雇労働者又はその被扶養者となった場合」という別内容の条文と差し替えられます。 これを、資格喪失後の継続給付の廃止と呼んでいるわけですが、ちょっと誤解があります。ここでいう資格喪失後の継続給付とは、療養の給付関連に限られます。 平成15年3月以前は、健保と国民健康保険とで、自己負担割合に差がありました。健保が原則被保険者本人2割に対し、国民健康保険は3割です。 しかし、4月以降、両者は3割負担で統一されます。そうすると、健保で資格喪失後の療養給付を支給する意味がまったく失われてしまいます。 このため、廃止が決定されたわけです。いってみれば、負担割合が変わったのに合わせた調整措置に過ぎないのです。 一方、傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金、出産手当金に関し資格喪失後の給付がなくなってしまうと、健保加入のメリットは大きく損なわれてしまいます。そこで、これらの給付については、従前どおりの扱いが取られます。 出産手当金に関しては、改正健保法第104条に、「(資格喪失の前日まで引き続き1年以上被保険者期間がある場合、)被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる」と定めています。ですから、退職が3月前でも4月以降でも、まったく心配はいりません。
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