|
主任と介護休業 (2003年4月号より抜粋) | |
主任が介護のために時間外制限を請求して来たが拒否できないか? |
||
Q |
当社の女性社員で、肩書きは主任ですが、コンピュータ業務で中心的な役割を果たしている人がいます。突然、彼女から、家族介護のために時間外の制限を適用して欲しいと申し出があり、困っています。人事課員の一人が、主任の場合、申し出を拒めるような規定があったはずといっていますが、本当でしょうか。 |
|
A |
介護の必要のある従業員に対し、時間外の制限を規定する法律は、平成14年を境に変わっています。14年4月以前は労基法、以降は育児・介護休業法です。 平成11年施行の改正労基法により、女性保護規制が撤廃され、女性も男性並に残業が可能になりました。しかし、すべての女性にいきなり新しい基準を押し付けるわけにはいきません。そこで、当面、労基法の附則に特例を設けました。これを「激変緩和措置」といいます。 激変緩和の対象になるのは、育児・介護の必要のある「女性」だけですが、女性の中でも、制度が適用されない人たちがいました。具体的には、管理職等、もともと時間外の適用がない人の他、指揮命令者・専門業務従事者も除外されていました。 ここでいう指揮命令者とは、「業務を遂行するための最小単位の組織の長であるもの、または職務上の地位がそのものより上位にある者で、労働者の業務の遂行を指揮命令するもの」を指しますが、その代表例が「主任」でした。 人事課の方が「主任には時間外の制限を適用しなくてもよいはず」といったのは、この仕組みが頭の片隅にあったからでしょう。 しかし、平成14年4月以降は激変緩和措置が廃止され、新たに育児・介護休業法のなかに規定が設けられました。これをポスト激変緩和措置と呼び、両者の仕組みはよく似ていますが、細かい点で違いがあります。 ポスト激変緩和の対象になるのは、育児・介護の必要のある「男女」労働者(日々雇用される者を除く)で、労使協定を結べば、入社1年未満の者や配偶者が専業主婦の者などを除外することができます。 しかし、以前は存在した指揮命令者・専門業務従事者に関する例外規定は置かれていません。ですから、時間外の適用除外を受ける管理職等は対象にはなりませんがそれ以外の労働者は、男性だろうと、主任だろうと、適用されるのです。 お尋ねの女性主任も、育児・介護休業法に基づき申し出があれば事業主として、拒むことはできません。 ポスト激変緩和の場合、時間外の上限は、業種に関わらず、1ヵ月24時間、1年150時間と定められています。家族が病気になれば、やはりイの一番に女性に負担が掛かってきます。病状・状況によっては、介護休業を申請されても仕方のないところです。 会社として、法に基づく措置を講じるのは当然のことです。
|
|
労務相談と判例> 休暇、休日の相談 労務相談と判例> 育児、介護の相談 |
Copyright (C) 2003 Tokyo Soken. All Rights Reserved