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退職月の時間外割増賃金の支払い (2004年4月号より抜粋) | |
退職月に多額の時間外が発生しましたが清算期限はいつになりますか? |
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Q |
当社では、計算の都合上、時間外割増を翌月回しで支払っています。今月末に退職する者が、業務引継ぎの関係で相当数の時間外労働が発生してしまいました。規定の賃金支払日がくるまで、放置していても構わないでしょうか。「1週間以内に清算する」という規定があったようにも思いますが・・・ |
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A |
規定支給日に処理すれば問題なし 賃金は、すべての項目について、締切日を統一する義務はありません。ある月の賃金をその月中に必ず支払う必要もなく、月をまたいだ清算も可能です。ですから、基本給はじめ基準内賃金は末日に払ってしまうけれど、時間外・深夜等割増賃金は翌月回しという会社もあります。 通常、退職する最後の月は、年休の消化等もあって時間外労働は少ないものです。しかし、急な転職が決まって、大慌てで残務を処理する従業員もいるでしょう。最近では、残業が続いたあげく、過労死するケースも発生しています。この場合、最終月の割増手当は多額に上ります。 この割増分の支払いですが、労基法第23条に金品の返還という規定があります。「労働者の死亡又は退職の場合、権利者の請求があれば、7日以内に賃金等を支払う」という内容です。 お尋ねにある「1週間以内の清算」とは、この規定を指すのだと思います。しかし、この規定は、あくまで「権利者の請求があること」が条件になります。退職者が出たら、必ず7日以内に清算しないと、違法になるわけではありません。退職金は、支払日に関する規定が別にあれば、その日までに清算すればよく、請求があっても「7日以内」の規定は適用されません。 割増賃金の額が大きくなったので心配されているようですが、退職者から申し出がなければ、通常の賃金支払日に払うことで法的義務を果たしたことになります。円満に退職が決まり、本人にも金銭が必要な特別の事情がなければ、普通は、わざわざ申立てをすることはないでしょう。
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