退職後に傷病手当金を給付されない(2004年12月号より抜粋)  
     
 

待期期間を満たした社員が退職後に傷病手当金を拒否されたのはなぜ?

 

Q

腰を痛めた従業員が、1週間ほど休んだ後、数日間勤務しましたが、仕事を続けるのは難しいと判断し、自主的に退職しました。傷病手当金を請求したところ、対象にならないといいます。どうして、そういう結論になるのでしょうか。

 

 
 

A

離職当日に就労しているので、傷病手当金は給付されない

傷病手当金は、療養のため労務不能な日が3日連続した場合、4日目から支給されます。最初の3日間を待期期間といいます。

お尋ねのケースでは、1週間休んだという話ですので、いったん、待期は完成し、傷病手当金を受けていた期間があるはずです。

一度、待期が完成すれば、途中で出勤を挟んでも、その後は待期なしで手当金が支給されます。たとえば、5日休んで2日間、給付を受けたとします。その後、1日出勤期間があっても、翌日から休めば、すぐに手当金の支給が復活します。

健康保険には、資格喪失後の給付という仕組みがあります。退職後も、一定の要件を満たせば、従前と同じように給付を受けることができるのです。

傷病手当金の場合、資格喪失の前日まで被保険者期間が1年以上あり、資格喪失時に傷病手当金の支給を受けているか、支給を受ける条件を満たしている場合、継続受給が可能です。

在職中に、待期期間が完成し、一度は傷病手当金を受けていたのだから、この条件に該当するのではないか、そう即断される方もいるようです。

しかし、「支給を受ける条件を満たしている」とは、現に傷病で労務不能なのだけれど、会社から報酬を受けているので、手当金をもらっていない状況等を指します。

資格喪失日まで、不十分とはいえ労務を提供していた場合、手当金を受ける条件をクリアしていません。このため、資格喪失後の給付の権利がないと判断されたわけです。

腰痛で労務不能の状態となり、最低1日でも休んでから退職すれば、結論に違いが出たはずです。

 

 
  労務相談と判例> 退職、解雇の相談
労務相談と判例> 健康保険の相談

Copyright (C) 2004 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所