パートの通勤手当と通勤災害(2005年2月号より抜粋)  
     
 

パートに通勤手当を払っていないと労災の保護を受けられませんか?

 

Q

当社では、正社員が自動車通勤する場合、距離に応じて通勤手当を支給しています。一方、自転車通勤しているパートタイマーには、何も手当をつけていません。このパートタイマーが、通勤中に事故にあった場合、賃金の支払いがないため、労災給付を受けられないのでしょうか。

 

 
 

A

通勤手当の有無は関係ない

労基法では、通勤手当の支給を義務付けていません。ですから、1円も支給しなくても法違反ではありません。新幹線通勤などの場合、通勤費に上限を設け、全額を支払わないケースがありますが、これも同様の理屈で許されます。

自転車通勤等の場合、距離に応じて非課税限度額が決まります。片道2キロ未満の場合、通勤費を支払えば、全額課税対象となります。貴社でも、正社員とパートを差別しているわけではなく、単に距離が近いので、全額不支給としているだけかもしれません。

労災保険の保険料は、全額、事業主負担です。現在、非業務災害率(通勤災害に係る災害率及び二次健康診断等給付に要した費用の額その他の事情を考慮して厚生労働大臣の定める率)は1,000分の0.9です。

従業員に支払った賃金にこの乗率をかけた額が、通勤災害等に要する給付費用の原資になるわけです。

貴社では、通勤手当という形で賃金を支払っていない従業員には、通勤災害制度の保護が及ばないのではないか、と心配されているようです。しかし、通勤手当の有無を基準として、支給の可否を決定する保険給付は存在しません。

通勤災害にあった場合、本人には、療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付等が支給されます。

賃金をベースに金額が決まる保険給付が主ですが、その算定に使われるのは過去3ヵ月に支払われた賃金の総額(3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金等は除きます)です。

通勤手当がなくても、何らかの名目で賃金を支払っている限り、それを基に計算した給付金が支給されます。

 

 
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