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判例 21歳の突然死で会社に損害賠償 (2005年7月号より抜粋) | |
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予見は可能だった 年齢に関係なく配慮義務 過労死というと、生活習慣病を抱えた中高年者の問題と考えがちです。しかし、本事件では、21歳のアルバイトの死亡が業務上の原因によるものと認定されました。長時間労働があったのは事実ですが、健康な若者が突然倒れるなど、事業主にとっては青天の霹靂(へきれき)でしょう。そうした「想定外」のケースでも、会社は厳しく責任を問われる点を学ぶべきです。 J社事件 大阪地方裁判所(平16・8・30判決) 長時間残業が身体によくないのは、誰でも知っています。しかし、職種・業種によっては、往々にして「それが当たり前」という風土が醸成されています。 本件で、アルバイト学生が勤めていたのは、中古車流通・情報雑誌の広告を製作する会社です。締め切り前に徹夜するなど、珍しくもないという環境でした。会社としては、「ごく普通に働かせていた」という程度の認識だったはずです。 アルバイト学生は、他の従業員に混じり、死亡1週間前には50時間30分、4週間前には88時間7分の残業をこなし、死亡前9日間は休日もなく、連続で勤務していました。悲劇は、そうしたなかで起きました。心筋梗塞と推定される症状で、突然死してしまったのです。アルバイト開始後、わずか9ヵ月後の出来事でした。 遺族は、会社側に安全配慮義務違反があったとして損害賠償を求める訴訟を提起しました。これに対し、会社はこのような若年者が虚血性心疾患を発症するなど、予見できるはずもなかったと反論しました。 裁判所の認定事実によれば、本人が入社時に提出した履歴書には健康状態は良好と記載されていて、面接時にもその旨、申告しています。死亡前に、上司に体調不良を訴えた事実もありませんでした。 しかし、判決文では、「十分な睡眠時間、休憩時間がとれず、不慣れな業務のうえ、締め切りが迫っている中で、面倒な作業を行っていた等精神的、肉体的疲労が相当程度蓄積していた」「長時間の労働が継続するなどして、疲労やストレス等が過度に蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは周知の事実であり、本人の年齢や入社時の健康状態、本人が体調不良を訴えなかったことなどをもって、会社に予見可能性がなかったとはいえない」という結論を下しています。「36協定の締結を怠っていた」点も、管理のずさんさを裏付ける論拠の一つとして挙げられています。 会社にとって厳しい判断ですが、過労死が発生した場合、言い訳の余地はほとんどないと覚悟しておくべきでしょう。
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