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深夜残業明けの勤務免除と休業手当 (2005年8月号より抜粋) | |
深夜残業明けの勤務を免除したら休業手当を請求されたが支払い義務はありますか? |
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Q |
機械のトラブルが発生し、保全担当者が深夜まで対応に追われました。疲労の回復を図るため、翌日の勤務を免除したところ、担当者から「会社の都合で休みにしたのだから、賃金の6割の休業手当を払って欲しい」といわれ、頭を抱えています。このような場合にも、手当の支払い義務が発生するのでしょうか。 |
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A |
「休日出勤に対して与えた代休」に準じて処理 労基法第26条では、「使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合には、平均賃金の六割以上の手当を支払わなければならない」と定めています。「今日は仕事がないから、出勤しなくてよい」などと会社が一方的に通告し、賃金を払わないことはできません。少なくとも、平均賃金の6割以上を補償する義務があります。 お尋ねのケースでは、残業が深夜に及んだため、「お疲れさま。代わりに、明日は休みにしてよいよ」、そういう指示を出されたのでしょう。ところが、給料日になってみると、1日分の賃金が差し引かれていたため、本人が不服を訴えたのだと思います。 ちょっと、説明不足があったことは否めません。この場合、「会社の責めによる休業」が発生したというより、代休に準じた措置が取られたと解するのが、妥当でしょう。休日出勤が必要になったとき、働きすぎを避けるため、代休を与えるケースがあります。代休時の扱いについて明確な定めがあればよいのですが、原則的には、休日出勤した日について割増賃金を支私い(法定休日135%、法定外125%等)、代休日の賃金100%を別に差し引くという処理が可能です。 今回は、長時間に及ぶ残業が生じたため、翌日を休みにするという措置が講じられたわけです。分かりやすい例でいうと、所定労働時間8時間の職場で、8時間の残業があった場合、丸一日の休日を与えれば、実労働時間の増減はないという結果になります。 しかし、8時間程度の残業なら、終業時刻は1時、2時ですから、翌日の勤務が肉体的に不可能とまではいえません。それを「会社の命令で、ムリに休まされ、100%の賃金カットを受けた」となれば、従業員が不満に感じても不思議ではありません。 休日出勤の事実がないのに、代休だけ与えれば、これは明らかに「事業主の責めによる休業」です。しかし、残業という形であれ、丸一日分の労働を余計に命じたのですから、それに対応する代休を与えても違法ではありません。 それでは、7時間だけ残業させた後、翌日を休みにしたらどうでしょうか。労働時間で比較すると、1時間の不足が生じます。しかし、7時間分の賃金は「平均賃金の6割」を上回っているので、法的には補償の義務は生じません。そうはいっても、1時間分の賃金をカットすれば、従業員感情を逆なでするのは明らかです。こうしたケースでは、時間的な不足があっても、満額の賃金を払うのが妥当でしょう。
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